2021年の再エネによる電力供給率が13%に上昇

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年01月31日

アルゼンチンのエネルギー庁は1月18日、2021年の風力や太陽光などの再生可能エネルギー発電による電力供給率が13%に達したと発表した。2015年公布の法律27191号は、2025年には再エネによる電力供給率を20%とする目標を掲げている。2019年以降、急速に再エネによる電力供給率が高まっている(添付資料表参照)。

同庁によると、2021年は26の再エネ発電事業が新たに操業を開始し、それにより導入された再エネ発電設備容量は1,004.54メガワット(MW)だった。再エネの発電設備容量の1年間の増加分が1,000MWを超えるのは3年連続だ。

2021年までの累計の再エネの発電設備容量は5,181.74MWに達した。その内訳をエネルギー源別にみると、風力が74%、太陽光が13%、小水力(注)が7%、バイオマス・バイオガスが6%となっている。アルゼンチンは南部を中心に風力発電の適地が多い。

再エネの導入が進む一方で、2021年は火力発電用の燃料の消費量が前年比9.7%増加した。電力卸売市場管理会社のカメサ(CAMMESA)によると、新型コロナウイルス感染拡大による厳しい行動制限措置が解除された結果、経済活動が活発になり、特に大口の電力需要が増加した。その一方で、水不足により水力発電量(大規模水力を含む)が減少したため、不足分を火力発電で補ったことが燃料消費量増加につながった。アルゼンチンでは火力発電が発電設備容量、発電量全体の約6割と大きなシェアを占めている(添付資料図1、2参照、いずれも2021年)。

政府は再エネ発電の導入をさらに進めていく方針だ。大統領官邸によると、連邦政府とサン・ファン、ラ・リオハ、ネウケン、メンドサ、カタマルカ、リオ・ネグロの6つの州政府が「国家再生可能エネルギークラスター」を立ち上げた。詳細は不明だが、同クラスターは連邦政府と州政府に、再エネ分野の民間団体を加えた官民合同組織だ。同組織を通じて再エネ発電所の建設や再エネ発電機器の製造を促進し、2023年までに750MW、2024年以降は毎年300MWの再エネ発電の導入を目指すとしている。

原子力発電にも動きがありそうだ。アルゼンチンでは現在、3基の原発が稼働しているが、中国の資金と技術を得て4基目の原発を導入する可能性が報じられている。アルベルト・フェルナンデス大統領は、両国の国交樹立50周年と北京冬季オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて2月に中国を訪れるとされており、中国政府と原発についても何らかの合意をする可能性が報じられている(現地紙1月10日付「クロニスタ」電子版)。

(注)エネルギー庁は出力50MW以下を小水力と定義、CAMMESAは50MW以下を再生可能水力と定義しており、ここでは水力発電については出力50MW以下のみを再生可能エネルギーとして扱っている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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