中国・アフリカ協力フォーラム閣僚級会議閉幕、ワクチン協力と対中貿易赤字縮小へ一致

(アフリカ、中国)

中東アフリカ課

2021年12月07日

中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の第8回閣僚級会議が11月29日から30日にかけて、セネガルの首都ダカールで開催された。中国側は王毅国務委員兼外交部長、アフリカ側は53カ国の外務相、経済・貿易担当相、財務相らが参加し、新型コロナウイルスワクチンの提供やアフリカの対中貿易赤字の是正に向け、協力することで一致した。

中国の習近平国家主席は11月29日、ビデオメッセージでの基調演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、新型コロナウイルス対策における連帯、経済協力のさらなる深化、グリーン開発の推進、内政不干渉など公平性と正義の追求を強調した。その上で、「中国・アフリカ協力ビジョン2035」を発表し、中国がアフリカ諸国と緊密に協力しながら、(1)医療・健康プログラム、(2)貧困削減と農業開発プログラム、(3)貿易促進プログラム、(4)投資促進プログラム、(5)デジタルイノベーションプログラム、(6)グリーン開発プログラム(7)能力開発プログラム、(8)文化・人的交流プログラム、(9)平和と安全保障プログラム、の9つのプログラムを実施するとしている。

新型コロナウイルス対策については、2022年までにアフリカ人口の60%に新型コロナワクチンを接種するというアフリカ連合(AU)が掲げる目標のために、10億回(うち6億回分が寄付、4億回が共同生産)分の新型コロナワクチンを提供するとした。また、拡大傾向にあるアフリカの対中貿易赤字については、今後3年間でアフリカの対中輸出を3,000億ドルにするとした上で、対中農産物輸出のための「グリーンレーン(Green lanes)」の開設、検査・検疫手続きの迅速化、中国と外交関係を有する後発開発途上国(LDCs)からのゼロ関税製品の適用範囲の拡大などを実施するとした。

また、中国はアフリカ諸国に対し、400億ドルを支援することも表明している。その内訳は、自国企業によるアフリカへの投資、アフリカ金融機関への融資、貿易金融、IMFの特別引出権がそれぞれ100億ドルとなっている。もっとも、2018年のFOCACで表明されていた援助金600億ドル(2018年9月12日記事参照)からは減少したかたちだ。

今回の会議ではそのほか、戦略的・協力的パートナーシップの深化に対する中国とアフリカ諸国双方の重要な共通認識を表明した「ダカール宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」、次回のFOCACが予定される2024年までの双方の協力にかかる3カ年の具体的な実施計画「ダカール行動計画(2022-2024年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」、今日の世界における最も深刻な課題の1つである気候変動に対して共同して取り組むことを宣言した「中国・アフリカ気候変動対策協力宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が採択された。

(梶原大夢)

(アフリカ、中国)

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