連邦議会、イグナツィオ・カシス副大統領を新大統領に選出

(スイス)

ジュネーブ発

2021年12月15日

スイス連邦議会は12月8日、大統領選挙を実施し、イグナツィオ・カシス副大統領兼外相が有効投票197票のうち156票を獲得して新大統領に選出された。新副大統領にはアラン・ベルセ内相が選出された。新しい正副大統領は2022年1月1日に就任する(注)。

カシス氏は急進民主党出身で2017年に入閣した。イタリア語圏ティチーノ州の出身で、入閣前は医師として活躍していた。大統領を務めるのは今回が初めてとなる。

選挙後の演説で同氏は、新型コロナウイルス感染拡大は、世代やワクチン接種の有無、政治的イデオロギーの違いなど、国民同士を隔てるものを浮き彫りにしたと述べ、国民に対して団結を呼びかけた。複数の言語圏、文化、宗教が共存する「多様性」はスイスの核であり、イノベーションの源でもあり、対応が難しい場合でも互いの立場を考えることで妥協点を見つけることができるとのメッセージを国民に伝えた。

連邦議会はカシス大統領選出の発表で、今後対応すべき主要な課題の1つとして、EUとの対話の再開を挙げた。EUと長年交渉していた制度的条約(Institutional Agreement)について、連邦参事会(内閣)は5月26日、条約に署名しないことを発表し、7年間にわたる交渉は中止となった(2021年5月28日記事参照)。これにより、スイス・EU間の医療機器の相互の自由な市場アクセスを確保する相互承認協定(MRA)などは更新されておらず、EUの研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」についても、スイスは助成金やプログラムへの参加に当たって制限がある第三国の扱いとなった。

カシス氏はこの問題への対応の難しさを示しながらも、EUや近隣諸国と良好な関係を維持し、共通の議題を確立することを目指すと述べた。

現時点でのカシス氏の支持率は高いとはいえず、2021年10月に実施された閣僚支持率調査によると、同氏は7人の閣僚中、最も支持率が低かった。

(注)スイスの大統領は、慣例的に閣僚7人のうち1人が1年ごとに交代で務める輪番制となっている。

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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