オミクロン株対策で追加接種加速、接種義務も拡大へ

(ドイツ)

ベルリン発

2021年12月24日

ドイツのカール・ラウターバッハ保健相は12月22日の記者会見で、新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向にあるが、オミクロン型変異株の感染拡大は防げないと想定すべきとの危機感を示した。記者会見に同席したロベルト・コッホ研究所のローター・ビーラー所長は、同日時点で同研究所に報告されている国内のオミクロン株感染者は累計540人、感染の疑いがあるとして検査中の人数は累計1,848人としている。

オミクロン株に対するワクチン接種による感染と重症化の予防効果については、ブースター接種が有効との研究結果が示された。ブースター接種では接種1週間後に免疫が確立、発症予防効果は「70~80%程度」、重症化予防効果は「90%をはるかに超える」として、2回接種完了よりも、ブースター接種によって高い予防効果が認められるとした。

オミクロン株の感染拡大に備え、政府は迅速かつ強力にブースター接種キャンペーンを推し進める。ブースター接種は全人口の33.8%に当たる累計2,810万回(12月21日時点)行われているが、これを2022年1月末までに累計6,000万回まで引き上げる。このため、クリスマスと年末年始の休暇期間中の12月24日から1月9日も予防接種センターなどは閉鎖せずに接種を継続する。

常設予防接種委員会(STICO)は、5~11歳で既往症のある子どもの接種と、18歳以上のブースター接種も推奨している。

ワクチン接種義務化へ前進

ドイツ倫理委員会は12月22日、一般への新型コロナワクチン接種義務化の拡大について、「高死亡率や差し迫る医療逼迫など、感染拡大による深刻な悪影響を軽減または防止できる場合に限り正当化できる」として、全国一律での実施などの条件付きで推奨する特別勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ドイツでは既に、2022年3月15日から医療機関や高齢者介護施設に勤務する従業員に限ってワクチン接種を義務付ける法改正は完了している。倫理委員会の特別勧告を踏まえ、連邦政府はワクチン接種義務を一般に拡大する改正法案を連邦議会(下院)に提出し、党議拘束なしの自由投票を行う予定。

経済界も接種義務化を支持している。ドイツ産業連盟(BDI)は12月22日、「経済界は引き続き、ワクチン接種の義務化がパンデミック対策の最終手段と考える。高いワクチン接種率による感染拡大防止を達成すべきで、一部のワクチン接種拒否者が、大多数を占めるワクチン接種者の社会をまひさせるようなことがあってはならない」との考えを示した。

(中村容子)

(ドイツ)

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