製造現場の環境負荷と労働力不足の解消に取り組むカナダAIスタートアップ

(カナダ、日本)

トロント発

2021年12月09日

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ発)の出資を受けたカナダのスタートアップ、キャンバスAI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、キャンバス)は、人工知能(AI)を活用したSAAS(サービスとしてのソフトウエア)により、生産効率や品質の向上、廃棄物やエネルギー消費を削減した製造過程の最適化を図る。ジェトロはヤマハ発への取材(2021年11月15日記事参照)に続き、11月22日にキャンバスの戦略・業務担当ディレクターであるジョセフ・ザンコウィッツ氏に話を聞いた。

(問)ヤマハ発との協業が始まったとき、まず何から着手したのか。

(答)ヤマハ発はAIの利用経験が豊富な企業で、協業を始める際に必要となることの多い、AIが活用可能なデータを判別する作業に時間を要することはなかった。そのため、現在のアプローチでは解決が難しい、あるいは解決にコストがかかり過ぎる課題にAIを用いることを決めた。また、生産性向上のためにわれわれのプラットフォームに追加すべき機能を検討するため、ヤマハ発への聞き取りを丁寧に行った。

(問)日本企業と協業してみての印象はどうか。

(答)日本企業の多くはデジタルトランスフォーメーション(DX)や自動化を進めており、業務から得られる各種データに価値があることも理解し始めている。だから、AIの活用がイノベーションを進める最速の手段だと多くの企業が考えている。ただ、より重要なこととして、AIは組織的な知識を獲得し、再利用するための確実な方法でもあり、日本企業が直面する労働力不足に対しても有効な手段だということを伝えたい。

(問)キャンバスの技術の強みは何か。

(答)当社は産業オペレーションに特化していることが他のAIベンダーとは異なる強みだ。産業エンジニアがデータ分析の訓練なしで使用できるAIプラットフォームを提供しており、石油・ガス、化学、金属・鉱業、医薬品、自動車、食品・飲料などの幅広い業界での導入実績もある。また、AI導入から成果が出るまで数カ月を要することなく、すぐに価値を提供できるように設計しているのも特長だ。

(問)どのような課題がキャンバスの技術で解決できるのか。

(答)当社はコスト削減や品質向上、オペレーションの回復力強化といった通常の課題に加えて、2つの重要な社会的意義にも取り組んでいる。1つが水の利用や廃棄物、エネルギー消費量を減らすことによる環境負荷の低減。そしてもう1つは、世界的に問題になっている工場労働者不足だ。日本の製造業における熟練労働者の半分以上が間もなく定年退職することを考えると、日本社会にとっても深刻な問題と考える。

(問)今後の日本での展開は。

(答)ヤマハ発との協業は単にソフトウエアやサービスの売買だけを目的としたものではない。われわれはより高いレベルの関係性を構築し、他の日本企業との共同事業開発や日本の社会全体に向けた活動などもできると考えている。今回の協業が成功すれば、近い将来キャンバスが日本に事務所を構える可能性もあるだろう。

写真 キャンバスAIの戦略・業務担当ディレクターのジョセフ・ザンコウィッツ氏(同社提供)

キャンバスAIの戦略・業務担当ディレクターのジョセフ・ザンコウィッツ氏(同社提供)

(江崎江里子)

(カナダ、日本)

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