海南自由貿易港知的財産権保護条例、2022年1月から施行

(中国)

広州発

2021年12月28日

中国の海南省政府は12月16日、2022年1月1日から施行する「海南自由貿易港知的財産権保護条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」について記者発表を行った。同条例は知的財産権の保護を強化し、イノベーションの活性化を促進することで、海南自由貿易港のビジネス環境の最適化を図ることを狙いとしている。

条例は総則と、行政による保護、司法による保護、社会的ガバナンス、運用とサービス、監督と管理、法的責任、付則の8つの章、全62条から構成される。

海南省人民代表大会立法委員会の鄧雲秀副委員長は記者発表で、同省が直面する知的財産権に関する4つの大きな課題と解決策を示した。

1.商標と特許の保護

商標登録に関し、悪意のある出願やイノベーションの保護を目的としない非正常な特許出願は法に基づき処理する。より悪質で社会に与える危害が大きい場合は、より重い行政処分の対象となり、中国政府が管理する「社会信用システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」上で「著しく信用を喪失した企業リスト」(ブラックリスト)に掲載する。

2.営業秘密の保護

反不正当競争法が定める営業秘密侵害の民事裁判手続きでの立証責任の転換ルール(注)を営業秘密の行政保護に導入し、権利者にとって立証困難な問題を解決する。

3.展示会や電子商取引(EC)の分野の知的財産権保護

展示会の主催者やECプラットフォームの運営者などに対して、知的財産権の管理責任を明確化した。

4.行政手続きと司法手続きの連携メカニズムの構築

国家知識産権局の支援を得て、知的財産権の無効化プロセスと知的財産権侵害紛争、民事侵害訴訟、仲裁手続きの行政裁定の連携メカニズムを確立する。知的財産権の迅速かつ協調的な保護を実施し、知的財産紛争の処理に長期間を要するといった問題を解決する。

同条例の日本語訳は、ジェトロウェブサイト内「法律・法規-地方規定」で公開予定。

(注)本来、立証責任が権利者にあるものを権利侵害者の責任とすること。

(黎偉君)

(中国)

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