中期予算方針を発表、歳入見通しの上方修正

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年12月03日

南アフリカ共和国のイノック・ゴドングワナ財務相は11月11日、今後3年間の政府予算の方針を定める中期予算方針を発表した。2021/2022年度(2021年4月~2022年3月)の歳入、2月の2021年度予算案では1兆4,000億ランドだったのに対し、現在1兆5,000億ランドに達し、1,203億ランド(約9,143億円、1ランド=約7.6円)の上方修正となった。一方、貴金属の価格が軟化を始めたことから、収入増は一時的なものと予想され、政府は引き続き財政赤字の軽減と公的債務(グロス)のGDP比の安定化を目指すとした。なお、2025/2026年度にピークを迎える公的債務のGDP比は、2021年当初予算で想定された80.5%から78.1%に減少しており、今回の発表では改善の兆しが見え始めたといえる。

ゴドングワナ財務相は同発表において、新型コロナウイルスに関する規制緩和や低金利、一次産品価格の上昇などにより、2021年の南ア経済を  5.1%増と見込んでいる。ただし、今後3年間の経済見通しは、電力不足などを背景に平均1.7%増にとどまるとした。同相は経済見通しを踏まえて、経済改革を加速させる必要があると述べた。まず、電力不足について、「エネルギーの安定供給を確保し、再生可能エネルギーへの移行を加速させることが第1課題」とし、再生可能エネルギー独立発電事業調達計画(REIPPPP)の第5回入札で承認された25のプロジェクトにより、250万キロワット(kW)の電力供給増加が見込まれ、安価で販売される予定だと述べた。次に、南アの物流インフラを改善させ、輸出促進を目指すことに言及した。同相は、6月に発表した運輸公社トランスネット保有の国立港湾局の独立子会社化について触れ、2022年末までに民間の鉄道事業者が貨物鉄道網へのアクセスできるようにするとした。

南ア大手銀行のネドバンクは今回の政府発表に関して、市場の予測と大きな変化はなかったと評した。また、同行は政府の抱える財政問題としてインフラ以外に、賃金上昇やベーシックインカム導入の可能性を指摘した。政府は2021~202年の賃金協定において労働組合と裁判で争っており、裁判所が組合に有利な判決を下した場合は、下半期に370億ランドの追加支出が発生すると予想している。

課題が多い財政の中で、2026年度までに南ア政府がどのようにかじ取りをし、公的債務の安定化を目指すのか要注目だ。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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