物価上昇が加速、消費者物価指数は13年間で最高値

(イタリア)

ミラノ発

2021年12月09日

イタリアで物価上昇が加速している。イタリア国家統計局(ISTAT)は11月30日、11月の消費者物価指数(速報)が前年同期比で3.8%上昇し、2008年以来の最高値となったと発表したPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、エネルギーや生鮮食品を除いたコアインフレ率は10月の1.1%上昇から11月には1.4%上昇と、2013年3月以来の最高値となった。

品目別に前年同月比でみると、エネルギー価格が10月の24.9%上昇から11月は30.7%上昇した。価格が政府によって管理されているエネルギー項目は10月の42.3%上昇から41.8%上昇の一方、価格が管理されていないエネルギー項目は15.0%上昇から24.3%上昇だった。

エネルギーだけでなく、食品や輸送部門などにも物価上昇の傾向が現時点ではわずかだが広がっている。加工食品は前年同月比で10月の1.0%上昇から11月は1.7%上昇、未加工食品は0.8%上昇から1.5%上昇だった。輸送サービスは2.4%上昇から3.6%上昇。娯楽・文化・介護サービスは1.9%上昇したが、前月比では0.7%マイナスとなった。

今回の発表を受けて、全国消費者連盟は11月30日に発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「不吉な物価上昇」とし、クリスマス商戦への影響を懸念。子供が2人いる家庭では年間1,346ユーロ、子供1人の家庭では1,247ユーロの生活費が増加すると試算し、家計への影響が大きいガス・電気代への政府のさらなる介入を訴えた。

その他、イタリア商業連盟も11月30日に発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、予想以上に悪い状況だとし、経済回復に向けての障壁になると警鐘を鳴らした。エネルギーや原材料の高騰で2022年初頭には個人消費が冷え込むだろうと予測している。

(平川容子)

(イタリア)

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