中央経済工作会議が開催、2022年のマクロ政策は「安定」が第一

(中国)

北京発

2021年12月14日

中国で2022年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が12月8~10日に北京市で開催された。会議では、2021年の経済政策の成果として、中国の経済発展と新型コロナウイルス感染症の予防・抑制措置が世界をリードする地位を保ち、国家の戦略的科学技術力が加速的に増大し、産業チェーンの強靭(きょうじん)性が高まったことなどを挙げ、2021年から始まった第14次5カ年規画がよいスタートを切ったと評価した。

また、会議では、中国経済が需要の収縮、供給ショック、市場の期待の低下という三重の圧力に直面しているとの現状認識を示しつつ、経済の強靭性は高く、長期的に良くなるという基本的な方向性は変わらないと指摘した。

2022年の経済の基本方針としては「安定」を第一とし、「穏中求進」(安定の中で前進を求める)という全体の基調を堅持するとしたほか、サプライサイド改革を主軸とすることを堅持し、経済を合理的なレンジ(区間)に維持することなどを示した。

2022年の重点政策の筆頭には「マクロ政策は安定的で有効なものとする」を置いた(注1、添付資料表参照)。また、積極的な財政政策を継続し、その効能を高め、より精確性を重視し、より持続可能なものとするとしたほか、穏健な金融政策を継続して柔軟で適度なものとし、流動性の合理的な余裕を保つとした。さらに、新たな減税・費用削減政策を実施して中小零細企業や個人事業主、製造業に対するサポートを強化するほか、インフラ投資を適切に前倒しして実施するとした。各地方、各部門がマクロ経済の安定に責任を負い、各関係者が経済の安定に資する政策を積極的に打ち出すことも求めた。

財政・金融政策以外では、製造業のコア競争力を引き上げ、「専精特新」企業を大量に輩出するよう促すこと(注2)、長期賃貸住宅市場の発展を加速し、各都市の状況に応じた施策によって不動産業の健全な発展を促すこと、科学技術体制改革3年行動計画と基礎研究10年規画を実施すること、株式発行登録制度を全面的に実施し、国有企業改革3年行動を完成させ、送電網や鉄道等の業種の改革を段階的に推進すること、大卒者などの雇用問題を解決することなどを盛り込んだ(注3)。

このほか、正確に認識し把握すべき重要な理論的・実践的問題として、共同富裕、資本、一次産品の供給保障、重大(金融)リスクの防止・解消、カーボンピークアウト・カーボンニュートラルの5つが挙げられ、その対応方針などを示した。

(注1)中央財経委員会弁公室の韓文秀主任によると、「安定」とは、政策の連続性、安定性、持続可能性を保つこと、「有効」とは、政策のピンポイント性、実現可能性、実用性を高めることとされている(「証券時報」2021年12月11日)。

(注2)「専精特新」とは、専門性を有し、精密な技術力を持ち、差別化され、革新的な中小企業を指す。

(注3)国有企業改革3年行動方案(2020~2022年)は2020年6月の中央全面深化改革委員会第14次会議で採択されたもの。2020年10月12日に国有資産監督管理委員会(国資委)が行った説明によると、同計画では国資委傘下の中央企業について、国有資本の戦略的位置づけや発展目標に基づいて機能別に商業一類、商業二類、公益類の3種に分類するとしている。

(小宮昇平)

(中国)

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