重要インフラ安全保障法の改正法が発効、外資審査の対象拡大

(オーストラリア)

シドニー発

2021年12月09日

オーストラリア外国投資審査委員会(FIRB)は12月9日、重要インフラ安全保障法(Security of Critical Infrastructure Act 2018)の改正法が同月3日に発効したことに伴い、外国投資に対する審査のうち、国家安全保障に関するガイダンス資料の改定を発表した。

オーストラリア連邦政府は2020年6月、国家安全保障の観点から、外国投資に対する審査を強化する方針を打ち出し、外資による取得・買収に関する法律(Foreign Acquisitions and Takeovers Act 1975)の改正法を2021年1月1日に施行した(2020年12月23日記事参照)。これによって、投資額の大小にかかわらず、国家安全保障の観点から重要とされる土地や事業に対する外国投資は、政府による審査の対象となった。ここで定義される「国家安全保障に関する事業(national security business)」とは、重要インフラ安全保障法で定義する水や電気、港、ガスなどの資産、電気通信法(Telecommunications Act 1997)で定義する通信事業のほか、防衛装備品などの製造・供給・開発に関する事業、防衛技術や防衛関連情報に関する事業などを指している。

今回の重要インフラ安全保障法の改正によって、同法の対象範囲が通信、データ保存・処理、金融、上下水道、エネルギー、ヘルスケア・医療、高度教育・研究、食品、輸送、宇宙技術、防衛などに拡大されたことから、外国投資の審査対象となる「国家安全保障に関する事業」についても範囲が広がったことになる。国家安全保障に関するガイダンス資料の改定版はFIRBのウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で間もなく公開される。

(住裕美)

(オーストラリア)

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