米上院、エマニュエル前シカゴ市長を駐日大使、バーンズ元国務次官を駐中大使に承認

(米国、日本、ロシア、ドイツ、中国)

ニューヨーク発

2021年12月21日

米国上院議会は12月18日、ラーム・エマニュエル前シカゴ市長を48対21の賛成多数で駐日米国大使に承認した。ジョー・バイデン大統領が8月に指名して以降、10月に上院外交委員会で指名公聴会が開催され、11月3日には同委で承認されていたが、上院本会議での採決が滞っていた。エマニュエル氏は近く日本に赴任するとみられ、2019年7月以降空席となっていたポストが埋まることになる。

エマニュエル氏は、シカゴ市長(2011~2019年)の前には、2003~2009年にイリノイ州選出の連邦下院議員(民主党)を務め、その後、2009~2010年にバラク・オバマ元大統領の首席補佐官を担った経験がある。バイデン大統領とも、オバマ政権時に信頼関係を築いたとされる。日本との関係では、シカゴ市長時代の2018年に訪日し、日本政府とシカゴ市の間で経済、貿易、文化などに関する協力覚書を締結している。2021年10月の指名公聴会では、「向こう3年で日本と連携して構築するものが、米国にとって次の30年の体制を形作る」と日米関係の一層の強化を約束している(2021年10月21日記事参照)。

エマニュエル氏を含めて、30人以上の大使やその他の政府要職の人事案が上院で止まっていた背景には、ロシアからドイツに天然ガスを輸送するパイプライン「ノード・ストリーム2」に対する制裁に関する党派間の対立がある。米国務省は5月に、同パイプラインの運営会社ノード・ストリーム2AGと同社CEO(最高経営責任者)でウラジーミル・プーチン・ロシア大統領に近いとされるマシアス・バルニグ氏について、制裁対象になると結論付ける一方、ドイツとの関係悪化の懸念などから、制裁の適用を除外していた。これに対して、共和党上院議員の一部は反発し、その急先鋒であるテッド・クルーズ議員(テキサス州)がバイデン政権による人事案の採決入りを妨害していた。AP通信によると、上院の法案審議日程をつかさどる民主党のチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)との間で、2022年1月14日までにクルーズ議員起案のノード・ストリーム2関連の制裁法案への採決を行う代わりに、同議員が人事案の採決入りを認める合意が形成されたことで、エマニュエル氏を含む人事が進んだという。

バーンズ元国務次官の駐中国大使も承認

なお、米国と緊張関係が続く中国には、元国務次官のニコラス・バーンズ氏が次期駐中大使として指名され、上院は2021年12月16日に75対18の賛成多数で承認した。同氏も8月に指名されていたが、新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止する法案(2021年12月10日記事参照)の調整が議会で難航していたため、それに絡めて承認プロセスが止まっていた(ロイター12月16日)。下院で可決された同法案が上院でも16日に可決されたことで、バーンズ氏の人事が動いた。

(磯部真一)

(米国、日本、ロシア、ドイツ、中国)

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