上海データ取引所設立、データ取引が開始

(中国)

上海発

2021年12月03日

中国で、上海データ取引所が11月25日に設立された。上海市のキョウ正市長(キョウは龍の下に共)が設立式に出席して取引システムを起動させたほか、工業情報化部の徐暁蘭副部長と上海市の張為副市長がそれぞれ祝辞を述べた。

国務院は2020年4月、「より改善された要素の市場化配置への体制・メカニズムの構築に関する意見」を発表、土地、労働力、資本、技術に加え、「データ」を新たな生産要素として位置付けるとともに、データ市場の育成・発展を打ち出した。続く5月に発表された「新時代における社会主義市場経済体制改善の加速に関する意見」でも、データ市場の育成加速化が盛り込まれており、今回のデータ取引所設立は、こうした政策を体現した動きとなっている。

データの購入を希望する企業は、取引所に登録する必要があり、データ提供側がデータの使用範囲など一定の条件を定める。取引所には、上海電力や中国東方航空を含む100社が登録された。

取引開始初日の11月25日には、金融、通信、交通など8つの分野の20種類のデータ商品が取引された。うち、1件目の取引となったのは、中国工商銀行と国家電網上海電力の間でのデータ商品「企業電智絵」の取引。上海電力は電力に関するビッグデータを提供し、工商銀行は当該データを金融商品やサービスの展開に活用する。

設立式では、上海市データ取引専門家委員会も同時に発足した。法律法規、金融取引、データセキュリティなどさまざまな分野に及ぶ31人の専門家が委員になっており、データ取引に対するアドバイスや指導を行う。

上海市浦東新区も同25日、「浦東新区データ取引集積創新発展促進政策」を発表。企業の発展、研究開発・イノベーション、知的財産権、融資サービス、人材支援の5分野における政策措置を打ち出した。また、浦東新区に位置する張江科学城と臨港新片区を重要拠点とし、データ産業集積区の建設やデジタル化を促進するとしている。

(侯恩東)

(中国)

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