南ア全土で第4波に突入、伸び悩むワクチン接種

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年12月27日

南アフリカ共和国のジョー・ファーラ保健相は12月17日の定期ブリーフィングで、「南アの全ての州で実質的に第4波に突入し、既に第3波のピークを越えた」と述べた。同相はワクチン接種率が伸び悩んでいることを懸念し、年末年始の休暇前の国民に積極的なワクチン接種を呼び掛けた。

12月22日時点で、国内の新規感染者数の平均は1万7,440人。11月下旬は600人程度だったことから、1カ月の間で急増したことが分かる。12月上旬では、人口の集中するハウテン州が全国の感染者数の70~80%を占めていた。中旬以降は、国内旅行で人気の沿岸部の州を皮切りに、南ア全土で感染拡大が顕著になっている。現在、ハウテン州の感染者数は減少傾向にあるものの、他州での感染者数増加により、全体の新規感染者数は高い数値を維持している。ただし、第3波と比較して病床が逼迫している様子はなく、ロックダウンレベルは最も低い「調整されたレベル1」を保ち、現地駐在員の生活にも大きな混乱はない。

南アの現在のワクチン接種率は、成人人口比40%程度にとどまっている。南ア政府はワクチン接種推進のため、週末の接種会場の確保や、接種者を対象とした一部小売店でのクーポン券配布などを実施してきたものの、以下のようなさまざまな理由で未接種者が多いのが実態だ。

ケープタウン大学は12月22日、ワクチン未接種者1,940人を対象とした聞き取り調査の途中結果を公表した。ワクチンを接種しないと回答する大きな要因は、「ワクチン接種に係る安全性への懸念」だった。ワクチン接種に前向きな人たちは、「接種のしやすさ次第で検討したい」と述べている。なお、本調査はオミクロン株発見後に実施され、18~34歳の年齢層が最も多く回答した。現在、国内ではワクチン接種の義務化が議論になっており、同大学の調査チームは今後も対象者を増やしていく予定だ。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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