アウディが今後5年間の投資計画発表、電動化に180億ユーロ

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年12月28日

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループ傘下のアウディは12月16日、2026年までの投資計画を発表した(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2022~2026年の5年間で、設備投資および研究開発費として約370億ユーロを支出し、うち車両の電動化とハイブリッド化向けは約180億ユーロとした。

VWグループは2021年11月、グループ全体の向こう5年間の設備投資と研究開発費の総額を1,590億ユーロ、うち電動化とハイブリッド化向けは約520億ユーロと発表した(2021年12月16日記事参照)。アウディが占める割合は総額に対しては23%、電動化とハイブリッド化に対しては35%。アウディが2020年12月に発表した2021~2025年の投資計画は総額350億ユーロで、うち電動化とハイブリッド化向けは約150億ユーロだった。

電動化について、アウディは今回、2021年6月に発表の目標(2021年7月5日記事参照)を堅持した。具体的には、同社は、(1)2025年までにバッテリー式電気自動車(BEV)20モデル以上を市場投入(上市)、(2)2026年からはBEVモデルのみ上市、(3)2033年までに内燃機関を搭載した車の製造を原則終了する(中国は除く)というもの。2021年1~9月のアウディブランドの販売台数は134万7,637台(全世界)で、うちBEVは5万2,774台。BEVの販売台数は前年同期比51.4%増で、全体に占める割合は3.9%となり、前年同期(2.9%)よりも1ポイント増加している。また同社は今回、2030年の年間販売台数は300万台を目標とした(2020年は170万258台)。

充電インフラの拡充進める

アウディは今回、BEVの増加に伴って、充電インフラの需要が高まるとし、メーカーとしても整備を進める意向を明らかにした。同社は、独自に欧州26カ国に約29万の充電器を整備したほか、ポルシェ、BMW、フォード、メルセデス・ベンツなどと2017年に設立したアイオニティ(IONITY)を通じ、欧州内の急速充電施設の整備を進める。アイオニティは、2025年までに350キロワット(kW)の充電器を、現在の約1,500基から約7,000基に増やす予定。

また同社は、独自の取り組みとして2021年12月23日に、ドイツ南部の都市ニュルンベルクに「アウディ チャージングハブ(Audi charging hub)」を開設した(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。街中の充電施設としての新たなコンセプトで、最大出力320kWの充電器6基を備え、1日に約80台の充電が可能。利用者は充電の予約ができ、アウディの「e-tron」「e-tron GT」であれば20~30分で約8割の充電が可能。同施設には、利用者が充電中に利用できるラウンジも併設。アウディと契約すれば、1kW時当たり31セントで充電できる。電気は、外部から調達する再生可能エネルギーまたは同施設の太陽光発電で、使用済み車載蓄電池も同施設の電力貯蔵用に再利用される。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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