医薬品の国産化図る、製薬国営公社サイダルは外国企業との連携加速

(アルジェリア)

パリ発

2021年12月27日

アルジェリア政府は近年、医薬品を輸入から国内生産にシフトチェンジする方針を打ち出している。これに伴い、同国の大手製薬公社サイダル(Saidal外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と外国企業のパートナーシップに関する発表が相次いでいる。

アルジェリアの医薬品輸入額は近年、年間約20億ドルで推移している。しかし、輸入依存から国内生産に切り替えるために政府が導入した国内生産保護政策によって、2021年上半期の輸入額は8億5,000万ドル、同年通年では12億ドルになる見込みだ。アブドゥルラフマン・ロトゥフィ・ジャマール・ベンバーアフマド製薬産業相は9月27日、現地生産額は国内市場の66%を占めているが、2021年には新たに60の生産ラインが稼働するため、70%を超える見込みだと述べた。

そうした中、外国企業の技術の吸収に向け、サイダルと外国企業のパートナーシップに関する発表が相次いでいる。サイダルは11月3日、米国製薬企業ファイザーと2020年11月に締結した合意書に基づき、今後、新たなパートナーシップによって、抗がん剤を含めた医薬品の生産を手がけると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社は1997年に合弁会社ファイザー・サイダル・マニュファクチュアリング(Pfizer Saidal Manufacturing)を設立しており、鎮痛剤や抗炎症薬などを製造してきた。

11月16日には製薬産業省のバシール・アルアッシュ製薬活動・規制局長が、サイダルがデンマークヘルスケア企業ノボ・ノルディスク(Novo Nordisk外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)とのパートナーシップに基づき、インスリン製剤の国内生産を2022年中に開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

さらに、同月23日付のコミュニケでアルジェリア製薬産業省は、サイダルが韓国・インドネシア合弁会社CKD-OTTOと2020年12月に締結した合意書に基づき、2023年までに抗がん剤の完全国産化を目指すと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。現在の国内での工程は抗がん剤の包装などに限られるが、2023年までに現地調達率を上げて、現地生産の原材料から6種の抗がん剤を製造する工程をアルジェ県エルハッラシュ市の工場で構築する。

新型コロナウイルスワクチンについては、ロシア製の「スプートニクV」の現地生産計画(2021年4月9日記事参照)に進展がない中、サイダルは9月29日、中国シノバックが開発したワクチンの製造を北東部コンスタンティーヌ県で開始した。生産量は2022年から月間800万回接種分、2023年からは同1,666万回接種分となる見込みだ。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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