第3四半期実質GDP成長率は前年同期比3.7%、2021年通年は6%超と予測

(台湾)

中国北アジア課

2021年12月09日

台湾行政院主計総処は11月26日、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を前年同期比3.70%、2021年通年の成長率予測を6.09%と発表した(添付資料図1、2参照)。また、2021年第1四半期(1~3月)と第2四半期(4~6月)の成長率をそれぞれ9.20%(修正前は9.27%)、7.76%(同7.43%)に修正した。

第3四半期の実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、内需全体の寄与度は4.99ポイントと前期の3.30ポイントから上昇した(添付資料表参照)。台湾域内事業者による持続的な資本設備の導入拡大と、第5世代移動通信システム(5G)やグリーンエネルギー設備構築の加速化、鉄道車両・船舶などの新規購入などにより、固定資本形成の寄与度が4.84ポイントとなり、内需を牽引した。

民間消費はマイナス2.68ポイントと、2期連続でマイナスとなった。域内では、7月27日から新型コロナウイルスへの警戒レベルが第3級から第2級に引き下げられたことに伴い、防疫措置が緩和されたが、民間消費の拡大効果が限定的だったことなどもあり、マイナス幅は拡大した。

外需のうち、輸出は、世界の景気回復に伴う需要の拡大と、商品価格の上昇、新興技術応用商品の需要増が継続していることもあり、寄与度は8.39ポイントとなった。輸入は、輸出増に伴う需要増および国際原材料価格の持続的な上昇、企業による資本設備の積極的な調達などにより寄与度は9.68ポイントとなった。輸出入ともに伸びたものの、輸入の伸びが輸出を上回ったことにより、外需の寄与度はマイナス1.29ポイントとマイナスに転じた。

主計総処は2021年第4四半期(10~12月)の成長率を4.15%、2021年通年の成長率を6.09%と予測した。対外貿易は、新型コロナウイルス感染拡大が抑制され、経済活動の正常化が進んでおり、5G、モノのインターネット(IoT)など新興技術応用商品の需要拡大、域内半導体企業による台湾域内への回帰を通じた生産能力の拡大、台湾が優位性を持つハイテク関連製品や伝統産業分野の輸出拡大が見込めるとした。原材料価格の高止まりや輸出増に伴う需要の増加を受けて、輸入も引き続き増加。2021年通年の輸出の伸び率は16.75%、輸入の伸び率は輸出を上回る18.49%と予測した。

内需は引き続き民間投資が固定資本形成を牽引するとした。域内半導体メーカーの継続的な設備投資、台湾企業による回帰投資の実施、通信事業者による5Gネットワーク構築の加速化、洋上風力発電や太陽光発電などグリーンエネルギー施設の増設などにより、民間投資の通年の伸び率は18.88%とした。

(北野真瑞)

(台湾)

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