イスラエルのスタートアップ、ブラジル展開を目指す

(ブラジル、イスラエル)

サンパウロ発

2021年06月25日

ブラジル輸出投資促進庁(Apex-Brasil)は6月23日、ブラジル・プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル協会(ABVCAP)、イスラエル・トレード&インベストメントと共催で、「Scale Up in Brazil」の公開フォーラムを開催した。

「Scale Up in Brazil」は、海外スタートアップ企業向けのブラジルにおけるビジネス展開支援プログラムだ。公開フォーラムでは、支援プログラムを受講した幾つかのスタートアップ企業が紹介された。支援プログラムの開催は今回で2回目。第1回は2019年に行われ、イスラエルのスタートアップ企業を対象にしたもの。第2回もイスラエルのスタートアップ企業が対象となった。

フォーラムでは、「1枚の絵は1,000の言葉に値する」というセッションが設けられた。顔写真1枚から生物的な特徴を分析することで、92%の正確性で詳細なプロファイルを作成する技術を持つFacetrom外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが登場した。金融機関向けサービスなどに活用できるという。2020年2月20日付のアクセンチュアのプレスリリースによれば、「ブラジルは2019年に世界で5番目にフィンテック分野への資金調達を多く行った国」とされており、海外フィンテック企業のブラジルへの関心は高い。

そのほか、「サステイナブルな消費と生産」のセッションでは、化学物質を取り除く水処理技術を有するElgressy外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや、培養牛肉の技術を持つAleph Farms外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドローンで撮影した農作物の画像と気象データから作物の病気を早期に発見する技術を持つAgroScout外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどが登場した。

「Scale Up in Brazil」では、オンラインによるブラジル経済や税制などの情報提供に加え、各社商品がブラジル市場において流通するかどうかといった仮説検証や、各社商品の実証実験などの支援などが行われる。2021年12月で、同プログラムは修了する予定。6月現在、集中的に支援する対象企業は10社に絞り込まれている。参加企業からは、同プログラムへの参加を通じて巨大なブラジル市場へ挑戦することが可能になる、ブラジルにおけるポルトガル語への対応ノウハウ習得や、個社での関係構築が難しい政府当局や大企業とのネットワークの形成が可能になるといった声が聞かれた。

2019年に行われた第1回「Scale Up in Brazil」を終了したスタートアップ企業の中には、ブラジル大手企業からの投資を得た企業もある。例えば、2020年12月8日付現地紙「バロール」によれば、ドローンを通じた森林の撮影で木々の健康状態や生産力を可視化する技術を持つSeeTreeは、ブラジルの大手果汁製造企業Citrosucoからの投資を得たという。

Apex-Brasilは詳細未定としながらも、2022年に第3回を検討しているという。

(古木勇生)

(ブラジル、イスラエル)

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