過去最長の約9カ月間を経て連立政権の合意成立

(オランダ)

アムステルダム発

2021年12月24日

オランダで3月に行われた下院選挙(2021年3月19日記事参照)から273日を経た12月15日、自由民主国民党(VVD)、民主66(D66)、キリスト教民主同盟(CDA)、キリスト教同盟(CU)の4党による連立政権の合意が成立し、2025年までの政策方針をまとめた連立合意書が下院に提出された外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。合意まで約9カ月と、過去最長の期間を要したが、最終的に前政権と同じ4党での合意となった。

今回の連立合意書で最大のテーマとなったのが気候変動とエネルギーだ。1990年と比較して2030年までに二酸化炭素(CO2)を55%削減する現行の目標を引き上げ、60%削減を目指すとした。さらに2035年までに70%、2040年までに80%とする新たな削減目標を盛り込んだ。目標達成に向け、2030年までに350億ユーロの予算を用意するとした。再生可能エネルギーへの転換が主な内容だが、原子力発電所を新たに2カ所に建設する方針も示した。木質バイオマスの段階的な廃止や、屋根へのソーラーパネル設置推進なども含めた。また、窒素排出量抑制に向けた取り組みも推進する。

住宅政策では、今後毎年10万戸の建設を行い、うち3分の2は手頃な価格の賃貸住宅もしくは全国住宅ローン保証限度額までの分譲住宅とするとした。教育では、高等教育(HBOおよび大学)の平等化に向け、奨学金を現行の貸付制度から基礎奨学金に変更する。労働市場の改善に向けては、最低時給の7.5%引き上げ、自営業者への労働不能保険加入の義務化などを盛り込んだ。

なお、与党4党は上院で過半数に達していないため、連立合意書の政策の実現に向けては国会での野党の協力取り付けが課題となる。

(下笠哲太郎)

(オランダ)

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