米通貨監督庁、大手銀行向けに気候変動リスク管理の指針案を発表

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月20日

米国通貨監督庁(OCC)は12月16日、米国の大手金融機関(総資産1,000億ドル超)向けに気候変動リスク管理の指針案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同案については2022年2月14日までパブリックコメントを受け付け外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますており、2022年中の詳細版策定を目指すとしている。米国では、証券取引委員会(SEC)が気候変動リスクを踏まえた企業情報開示の基準案作成を進めるなど、担当当局において企業に気候変動対策を促す仕組みづくりが進んでいるが、具体的な行動を求めるものとしてはOCCの今回発表が初めてとなった。

OCCは金融機関のうち、国法銀行法により連邦政府から認可を受けた金融機関などを監督している。今回の指針案では、気候変動リスクが企業の財務にどのような影響を与え得るかを特定、測定、監視、管理するためのプロセスを既存のリスク管理プロセスに組み込むことや、銀行自身の流動性や信用リスクなどへの影響を含めて仮定シナリオを立て、気候変動リスクが及ぼす潜在的な損失を分析し明らかにすることなどを求めている。今回の指針は原則ベースで罰則などは付されていないが、OCCは銀行への検査業務などを通じてこうした取り組みの進捗状況を確認・評価していくとみられる。

財務省に置かれている金融安定監視評議会(FSOC)は10月、金融システムに及ぼす気候変動リスクへの対処方針についての報告書を公表し(2021年10月26日記事参照)、当局や金融機関などに対し気候変動リスクを踏まえた取り組みを提言しており、OCCの今回の発表はこれも踏まえてのものとなる。企業の財務情報開示などを管轄するSECも前述の開示基準案の作成を進めているほか、金融政策を所管する連邦準備制度理事会(FRB)も、気候変動リスクを踏まえた監督基準案を検討中とされ、OCCの発表を受けて今回案への意見提出を検討するとともに、大手銀行に焦点を当てた監督基準案の策定に向けて引き続き検討していくとのコメントを発表している(「マーケットウォッチ」12月17日)。企業の財務情報に気候変動リスクの開示を求めるこうした新たな基準が、いつから、またどの程度の規模の企業にまで求められることになるか、今後の動向が注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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