英政府、オーストラリアとのFTAに署名

(英国、オーストラリア)

ロンドン発

2021年12月21日

英国政府は12月16日、6月に原則合意したオーストラリアとの自由貿易協定(FTA)に署名したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(協定文案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2021年6月16日記事参照)。署名式はオンラインで開催され、英国からはアン・マリー・トレビリアン国際通商相が、オーストラリアからはダン・テハン貿易観光投資相が参加した。

英国からの輸出については協定発効後、大半の品目が即時撤廃となっており、チーズや鉄など即時撤廃とならない品目も5年以内に関税がゼロとなる。

英国政府によると、2020年の英国とオーストラリアの貿易額(財・サービスの輸出と輸入の合計)は139億ポンド(約2兆850億円、1ポンド=約150円)。このうち財について、2020年の英国からの輸出品目では、医薬品が5億2,570万ポンド(構成比:12.9%)と最大で、次いで道路輸送車両が4億9,530万ポンド(12.2%)、その他製造品が3億7,620万ポンド(9.3%)、衣料品および衣料品付属品が3億3,040万ポンド(8.1%)、一般産業機械・機器が3億2,480万ポンド(8.0%)と続いた。英国への輸入は、飲料が2億9,650万ポンド(17.2%)と最大で、次いで非鉄金属が2億8,460万ポンド(16.5%)、その他製造品が2億580万ポンド(11.9%)、金属鉱石・金属くずが1億280万ポンド(5.9%)となった。なお、食肉・食肉加工品は5,050万ポンド(2.9%)で10位。

英国農業者連合(NFU)は「政府が(英国が)影響を受けやすい分野のセーフガードを期限付きにするというオーストラリアの要求を受け入れたことは残念だ。これらの分野への一定程度の保護は確保したものの、乳製品はわずか6年後、砂糖は8年後、牛肉と羊肉は15年後に完全自由化されることになる」と、国内農業への影響を訴えた。

一方、英国自動車製造者販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)は「英国の自動車部門は、世界の主要成長市場の1つであるオーストラリアに無関税でアクセスできるようになる。ゼロエミッション車への移行に不可欠なバッテリーを製造するためのサプライチェーンを多様化する機会にもなる」と期待を寄せた。一方で、英国が強みを持つ高級車に対しオーストラリアが厳しい税制を敷いていることを踏まえ、「引き続き英国の自動車メーカーはオーストラリアとの取引で困難に直面するだろう」とコメントした。

(宮口祐貴)

(英国、オーストラリア)

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