セルビア議会、2022年度国家予算法案を承認

(セルビア)

ウィーン発

2021年12月02日

セルビア議会は11月23日、2022年度(暦年)セルビア国家予算案を付随法案とともに賛成203票、棄権1票で可決した。2020年6月に行われた議会選挙(2020年6月26日記事参照)で、主要野党がほぼ議席を失う事態になったことから、2021年も審議期間は短くスムーズに法案が可決された。

2022年度国家予算の歳入総額は2021年度予算より1.9%増の1兆5,169億ディナール(約1兆6,686億円、1ディナール=約1.1円)、歳出総額は4.2%減の1兆7,170億ディナールで、収支は2,002億ディナールの赤字が見込まれ、これはGDPの3%に当たる。

アナ・ブルナビッチ首相は、同予算案は、(1)加速的な経済成長の継続、(2)大規模インフラの整備、(3)国民の生活水準の向上を目標に立案したもの、と述べた。また、同予算案は2022年のGDP成長率を4.5%とする想定に基づいて立案されたもので、2021年末までに58.2%までに達する見込みのGDPに占める公的債務の割合を、2022年には53.8%に引き下げるとも述べた。

加速的な経済成長の継続に関しては、2020年と2021年に3つの援助パッケージを通じて、セルビア政府は経済活動と国民に対し80億ユーロ以上を支出したことで雇用とGDP成長が確保され、セルビアはヨーロッパで最も成功した国の1つになったとするとともに、2021年のセルビアのGDP成長率は7%以上になる見込みで、2020年度は6万人の新規雇用が創出されたと述べた。また、2021年10カ月間のセルビアへの外国直接投資は31億4,000万ユーロで、前年同期より63%の伸びを示しているとも語った。

国家インフラ整備に関しては、過去最高となるGDP比7.3%(2021年度は5.5%)に相当する4,858億ディナールが、道路インフラ、医療施設、環境保護などに充てられるとした。

国民の生活水準の向上に関しては、(1)最低賃金を9.4%引き上げ約3万5,000ディナールとすること、(2)年金・障害者保険率の0.5ポイント引き下げ、(3)給与非課税額の1万6,300ディナールから1万8,300ディナールへの引き上げ、(4)年金支給額の5.5%増額ならびに毎年2月に2万ディナールの年金一時金を支給すること、(5)公務員給与の平均7.4%の引き上げ、などが盛り込まれていると述べた。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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