職場人員の最大50%復帰、オミクロン株対応でワクチン接種の有効期限設定へ

(シンガポール)

シンガポール発

2021年12月15日

新型コロナウイルスのシンガポール政府タスクフォースは12月14日、2022年1月1日から感染防止策を一部緩和し、職場の人員の最大50%までの職場現場への復帰を認めると発表した。同国では、新型コロナウイルスの再感染拡大を受けて、2021年9月24日から職場の勤務体制について在宅勤務をデフォルト(基本)としていた。

政府タスクフォースは10月23日に、2022年1月1日から新型コロナウイルスのワクチン接種者のみが出社できると発表していた(2021年10月25日記事参照)。同国では現行、飲食店やショッピングモールなどについてはワクチン接種者のみが入店できる。ワクチン接種者と認められるのは現在、世界保健機関(WHO)の緊急使用リスト(EUL)にあるワクチン接種の終了者か、新型コロナウイルスに感染して270日以内、もしくは指定検査施設で検査後24時間以内としている。政府タスクフォースは今回の発表で、ワクチン接種者の定義を一部修正し、2022年1月1日から感染後の有効期間を180日以内に短縮することを明らかにした。

また、2022年2月1日から、全ての屋内スポーツ施設の利用や、大学や専門学校などの高等教育機関の登校、ホテルやサービスアパートの短期宿泊についても、ワクチン接種者のみとする。さらに、イベントについても同年2月1日から、参加人数にかかわらず全てのイベントの参加をワクチン接種者とする(注)。

オン・イエクン保健相は同日の会見で、ファイザー・ビオンテック製のワクチン接種のオミクロン株に対する有効性が2回の接種終了後1カ月で約90%、3カ月後で約50%、4カ月以降で35%に低下するとの英国の研究結果を引用した。その上でオン保健相は、2回のワクチン接種に対して有効期限を設け、3回の追加接種(ブースター接種)でワクチン接種者と認める方針を明らかにした。保健省は現在、ワクチン専門家委員会と有効期間について検討中で、具体的な方針について2021年末、または2022年初に発表する。

保健省によると、2回のワクチン接種を完了した人の割合は2021年12月14日時点で人口の87%で、ブースター接種者が31%。同日時点でオミクロン株の感染者は合計16人(うち14人が海外からの渡航者)となったが、いずれも軽症か無症状で、うち3人は退院済み。

(注)2022年以降の感染防止策の具体的な緩和については保健省の2021年12月14日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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