第3四半期の実質GDP成長率は7.4%のプラス成長

(トルコ)

イスタンブール発

2021年12月07日

トルコ統計機構(TUIK)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(11月30日)によると、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は、市場の予想どおり前年同期比7.4%となり、前年同期のベース効果などで急伸した前期の22.0%(注)から鈍化した。季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では2.7%の成長だった。

第3四半期の成長率を支出項目別にみると、GDPの最大項目である家計最終消費支出は前期(23.3%)からは鈍化したものの、前年同期比で9.1%と成長を牽引した。また、政府最終消費支出も9.6%増と好調だった。個人消費とともに押し上げ要因となったのは輸出で25.6%増、輸入は8.3%減となり、純輸出の寄与が増大した。他方、民間投資を含む総固定資本形成は2.4%減となり、前期の20.5%増からマイナスに転じた。

部門別にみると、サービス(20.7%増)と工業(10.0%増)が、前期からは減速したもののプラス成長だった。他方、金融・保険業は、前年同期に2桁成長を記録して以降、減速が続き、当期は19.9%減だった。同様に、新型コロナウイルス感染拡大前に成長を牽引してきた建設も6.7%減のマイナスに転じた。

トルコの国営アナドル通信(11月30日付)は、輸出主導の工業とサービス部門が貢献したと報じ、トルコの経済成長に陰りはみえていないとしている。しかし、12月3日に発表された消費者物価の上昇は21.3%に達しており、個人消費の上昇が「消費可能な富裕層とそうでない貧困層」とに2極化していることを示唆している(注2)。なお、2021年の政府目標ではGDPは9.0%増だが、ゴールドマン・サックスなどの予測は10%以上の成長に上方修正している。

(注1)第2四半期のGDPは前年同期比21.7%増から22.0%増に修正された。

(注2)当地エコノミストのムラト・ウジェル氏から聞き取り。

(中島敏博)

(トルコ)

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