日米EU3極貿易相会合を開催、パートナーシップ刷新合意後初の共同声明を発表

(日本、米国、EU)

ニューヨーク発

2021年12月01日

萩生田光一経済産業相、キャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表、バルディス・ドムブロフスキス欧州委員会上級副委員長は11月30日、3極パートナーシップ刷新合意後初となる日米EU3極貿易相会合を開催し、共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

3極の貿易担当閣僚は、11月末からスイスのジュネーブで開催予定だったWTO閣僚級会合(MC12)の機会に、対面での会合を行う予定だった(2021年11月18日記事参照)。しかし、新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株の検出を受けてMC12の開催が延期されたことで、3極会合はテレビ会議形式での開催となった。

3極の閣僚は、第三国による非常的政策や慣行がもたらすグローバルな課題に対処するための連携を刷新し、次の3つの分野に焦点を当てることに合意した。今後、事務レベルで議論を行い、定期的に閣僚が進捗を確認するとしている。

  1. 非市場的措置による問題の特定
  2. 既存ツールの活用における協力の議論や、既存の執行ツールとのギャップおよびこれらの慣行に対処するための新たなツール作りに向けたさらなる作業が必要な分野の特定
  3. これらの慣行に対処するためのルール作りに向けたさらなる作業が必要な分野の特定

萩生田経産相からは、MC12の延期によりWTOの求心力が失われることは避けるべきで、新型コロナ危機、デジタル化、気候変動といった経済社会の課題に適切に対処するためには、WTOを中核とした多角的貿易体制の維持、強化が不可欠との発言がされた。共同声明では、3極の閣僚で「自由で公正なルールに基づく多角的貿易体制構築への努力を通じたWTO改革の重要性を強調し、今後開催されるMC12の成功に向けたコミットメントを共有していることを再確認した」としている。

3極貿易相会合は、グローバルな競争条件平準化を確保するため、補助金などによる過剰生産能力問題や強制的な技術移転要求などの第三国による市場歪曲(わいきょく)的措置に対して、日米欧が連携して対応していくことを目的に、2017年12月に開催されたMC11のマージンで初会合が行われた。その後、2020年1月までに7回の会合が行われたが、それ以降は開催されていなかった。

(磯部真一)

(日本、米国、EU)

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