第9回中小企業協力日ロ会合、日ロ双方の取り組みを披露

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2021年12月23日

第9回中小企業協力日ロ会合が、12月14日にオンライン会議形式で開催された。この会合は、2013年12月に経済産業省とロシア経済発展省の間で合意した「中小企業に関する協力覚書」に基づき、毎年実施されている。

日本とロシア両国の政府セッションでは、中小企業庁の新居泰人次長とロシア経済発展省投資政策・中小企業発展局のキリル・ セルガショフ副局長が、自国の「新型コロナ禍」における中小企業の現状と国の支援策について説明した。日本からは、特別貸付などの金融支援や業態転換を図る企業に対する支援策について述べた。ロシア経済発展省は、金融支援について説明を行った。中小企業や個人事業主に対しては年利3.0%の雇用維持のための特別貸付を実施し、また、中小企業への優先貸付プログラムでは基準利率が9.95%~10.25%(注)、実行件数は約1万5,000件で1兆ルーブル(約1兆5,000億円、1ルーブル=約1.5円)以上の融資を実施したと述べた。

ロシア連邦中小企業発展公社国際局長のパベル・コンドラショフ氏は、中小企業と個人事業主向けの新しい信用保証システムを導入し、既に約1万3,000件近い実績があると説明した。これは、借り手が金融機関から融資を受けるときに中小企業発展公社と各地方の信用保証機関が連携して保証人となり、借り入れを容易にさせ、迅速な融資を実行するプログラムだ。コンドラショフ氏は、借り手にとって非常に有益なプログラムであることを強調した。

日本側からは、ジェトロ、中小企業基盤整備機構が日ロ間の交流事業や企業支援実績をアピールした。

地方自治体セッションでは、両国自治体から交流実績に関する報告が行われた。

新潟県産業労働部産業政策課の丸山雄哉政策企画員によると、2021年10月にロシア極東のレストラン関係者へのオンライン提案会を実施したという。鳥取県商工労働部の遠藤俊樹経済産業振興監は、2021年11月に平井伸治知事と沿海地方のオレグ・コジェミャコ知事がオンラインで会談し、友好交流事業や今後の連携に関して議論した事例を紹介した。

ロシア側からは、スベルドロフスク州の担当者が地元のテントサウナブランド「MORZH」およびエクソルブが生産する放射性物質の吸着剤が日本に輸出されており、さらに輸出を拡大させたいと語った。イワノボ州からは現地投資環境に関する説明があった。

このほか、日ロ双方の研究機関と企業から、それぞれ日ロ経済関係の展望、各社の取り組みに関するプレゼンテーションが行われた。

(注)ロシア連邦中央銀行によると、2021年の商業銀行の貸出約定平均金利は貸付期間などの条件によって異なるが、個人向けが10.1%~14.71%、企業向けが7.36%~9.51%で推移している。

(小野塚信)

(ロシア、日本)

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