「グローバル・バリューチェーン・レポート(2021年版)」発表

(ASEAN、南西アジア、世界)

アジア大洋州課

2021年12月01日

アジア開発銀行(ADB)とWTO、ジェトロ・アジア経済研究所など5機関は共同研究成果「グローバル・バリューチェーン・レポート(2021年版):製造業を超えてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を11月16日に発表した。知的財産と関わるサービス貿易の成長に伴って、製造業を超えて深化・複雑化するグローバル・バリュー・チェーン(GVC)を主題としている。本レポートは2017年、2019年にも発表され、今回が3号目となる。

今回のレポートは、製品やサービスの構想策定から市場に至る、多国間の国境をまたいだ生産ネットワークGVCは、知的財産サービスの貿易取引の価値を考慮すると、通常報告される規模の2倍になると指摘している。知的財産サービスはブランド、特許、無形のノウハウ、現地法人に新たなビジネス機会を生み出す多国籍企業を含む。先行投資の必要性が低く、デジタル技術のコストが低下している中、新興・途上国はサービス主導の成長を好機と捉えることができる。報告書は、非製造業にまで及ぶGVCの拡大は新興・途上国によりインクルーシブな成長の機会を提供するとしている。

浅川雅嗣ADB総裁は「この報告書は、GVCの付加価値が非製造業で以前にも増して生み出されていることを示すことによって、新たな境地を切り開いている」とした。また「新型コロナウイルス(の影響)からの復興には、価値がどこで生み出され、どのように共有されているかについての新しい知識を深め、特に低所得国や中小企業がグローバル経済に参加する機会を増やすといったやり方で、バリューチェーンを再活性化させる必要がある」と述べた。

(新田浩之)

(ASEAN、南西アジア、世界)

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