タイ保健省が医療用大麻などの生産を支援

(タイ)

バンコク発

2021年12月16日

タイ保健省のアヌティン・チャーンウィラクン副首相兼保健相は12月11日、東北部ナコンパノム県で開催された医療用大麻に関するキックオフイベント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに参加し、同県において、医療用大麻を活用したメディカルツーリズムを推進し、また大麻学習センターを開設する予定、と説明した。同施設は、医療目的の大麻活用方法などについて学ぶ同県最大の施設となり、地域経済の活性化や、地域住民の収入増につながることが期待されている。

同相は、大麻の葉や茎をタイの麻薬植物のリストから除外した麻薬法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、12月9日に発効したことを受け、(1)2022年には、大麻の花、つぼみ、種子を含めた全ての部分について、合法的な使用を許可する。その上で、(2)保健省が、新たな違法麻薬リスト(同リストに大麻を含まない)を公表する計画と説明した。

会見の主なポイントは以下のとおり。

  1. 医療用大麻の栽培および加工の推進は、2022年における保健省の重点政策の1つだ。医療用大麻の推進は、新型コロナウイルス感染の影響によって受けた経済的なダメージからの回復を図る1つの選択肢。
  2. 医療用の大麻は合法的な薬用植物で、大麻の栽培・加工は地域住民の経済的発展に資する。大麻の栽培・加工を合法的に実行するため、大麻に関する正しい知識と理解を得ることが重要。
  3. 医療用大麻の栽培および加工を、企業を含めた地域社会で促進させる。
  4. 同県のメディカルツーリズム課が、今後、医療用大麻の使用を推進することになり、これらは、農業、保健、観光などと密接に関連する。大麻は既に食品、飲料、化粧品、医薬品などで製造・製品化されており、経済的にも有用で価値のある植物であることが証明されている。
  5. 今回のイベントでは、例えば家庭における大麻植え付けの体験や、大麻の栽培、加工、収穫物の展示など、さまざまなプログラムが用意されている。加えて、伝統医学のブースや、マッサージ・スパ、大麻製品の販売なども実施する。

大麻学習施設では、医療用大麻の原材料を保健省の担当部署機関に提供すれば、医療用の大麻製品に加工した上で、全国の医療施設の担当部署に提供することも可能だ。

(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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