RCEPの発効を前に、上海税関が原産地証明業務の全面オンライン化を実施

(中国)

上海発

2021年12月28日

2022年1月1日の「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」発効に先立ち、中国・上海税関ではRCEPの利用促進に向けた取り組みを強化している。

まず、RCEPにおける関税の減免を受けるためには、原産地証明書を取得し、輸入国の税関に提出する必要がある。上海市政府の2021年12月16日の発表によれば、上海税関では、2021年以降すでに7回にわたり、RCEP原産地規則の説明会を開催し、延べ4,000社以上の企業が参加したという。

さらに上海税関では、原産地管理情報システムをグレードアップし、ASEAN向けの原産地証明書の発給機能を追加したほか、他の自由貿易協定(FTA)も含め、原産地に関する全ての情報を統合し管理を一元化した。また税関は、企業が比較優位性のある輸出商品について事前分析する際のサポートも開始している。

このような状況を踏まえて、上海税関関税処の施敏処長は、企業が「インターネット+税関」と「ワンストップサービス」プラットフォームを利用することで、原産地証明書に関する全ての業務工程をオンラインで行うことができるようになったと述べた(「人民網」2021年12月17日)。

上海市浦東新区政府の12月20日の発表によると、ドイツ化学大手メーカーBASFの中国現地法人である巴斯夫(中国)の子会社、上海巴斯夫聚氨酯は、ASEAN向けに輸出する貨物の原産地証明書の発給を上海税関管轄下の浦東税関から受けた際、「原産地証明書の処理が効率的になるほど、企業はRCEPによる恩恵を享受しやすくなる」と述べた。

これまでジェトロが進出日系企業に対しRCEPの効果や課題を尋ねたところ、分業体制最適化や調達コスト低減に期待する一方、手続きの煩雑さなどを懸念する声が上がっていた(2021年7月21日付地域・分析レポート参照)。上海税関や浦東税関による、企業への周知活動の強化や、オンラインを通じた手続き簡素化に向けた取り組みは、企業のRCEP利活用の一助になるだろう。

(侯恩東)

(中国)

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