オラが電動スクーターの納車開始

(インド)

チェンナイ発

2021年12月24日

インドのオラエレクトリックモビリティー(以下、オラ)は12月15日、南部のタミル・ナドゥ(TN)州クリシュナギリ県で生産した電動スクーター(「S1」と「S1 Pro」)の納車を開始した〔オラ最高経営責任者(CEO)公式Twitter外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。カルナータカ州ベンガルールとTN州チェンナイでは納車イベントが行われた。

オラは2017年に設立され、配車サービスを行うオラキャブスの親会社ANIテクノロジーズの子会社だったが、株式の大部分をオラのバービッシュ・アガルワルCEOが取得した。その後、同社は複数回にわたって増資しており、出資者にはソフトバンクグループも名を連ねている。

当初予定では10月だった納車が12月に遅れた原因は、世界的な部品の供給不足の影響とみられる。アガルワルCEOは納車の遅れを認め、今後改善に努めるとしている。現地報道によると、ブルートゥースなど一部の機能が未実装の状態で納車されているようだ(「エコノミック・タイムズ」紙12月15日)。

オラは2020年12月にTN州政府と240億ルピー(約360億円、1ルピー=約1.5円)の投資に関する覚書を締結した。納車に遅れが生じたとはいえ、TN州政府との覚書締結からわずか1年で納車までこぎつけた。1万人を雇用し、年間1,000万台を生産する世界最大のスクーター工場を建設すると発表している。現在時点で製造業未経験の女性2,000人以上を雇用しているとみられ、将来的には欧州やアジア、ラテンアメリカなどへの輸出を予定している。

TN州では、クリシュナギリ県を中心に電動スクーター工場の集積が進んでいる。ようやく納車が開始されたが、今後、安定的に電動スクーターの生産が軌道に乗るか、納車されたユーザーの反応がどうか、オラをめぐる今後の動向に注目が集まる(2021年10月7日付地域・分析レポート参照)。

(浜崎翔太)

(インド)

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