事業戦略の見直しは1~2割台、2021年度カナダ進出日系企業実態調査

(カナダ)

米州課

2021年12月24日

ジェトロは12月17日、2021年9月に実施した「2021年度海外進出日系企業実態調査(北米編)」の結果を発表した。新型コロナウイルス感染拡大からの回復がみられる中、今後の販売戦略や調達、生産の見直しの動きについて聞いた(営業利益の見通しや経営上の課題などについては2021年12月17日記事参照)。

販売戦略の見直しを予定する企業の割合は27.8%で、業種別でみると、旅行・娯楽業(62.5%)や自動車等部品(45.5%)で高かった。また、見直しの内容としては、「販売価格の引き上げ」(51.4%)や「デジタルマーケティング、AI(人工知能)利用などデジタル化の推進」(45.7%)を挙げる企業が多かった。このうち、販売価格の引き上げ理由としては、「商品不足、輸送費」や「原材料費」「物流コスト」などの上昇を指摘するコメントが聞かれた。

調達の見直しを予定する企業は17.6%で、製造業(23.1%)の方が非製造業(13.7%)よりも高い割合となった。調達の見直し内容としては、多くの企業が「調達先の見直し」(86.4%)や「複数調達化の実施」(59.1%)を挙げている。調達先の変更理由としては、「関税リスク」や「新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンなどによって生じる調達リスクの分散」「輸送費の高騰」「海運輸送納期の長期化リスク低減」などといったコメントがあった。

生産の見直しを予定する企業の割合は11.4%で、業種でみると、自動車などの部品(63.6%)の多くが見直しを予定している。生産の見直し内容としては、「新規投資/設備投資の増強」(78.6%)や「自動化・精進化の推進」(50.0%)、「生産地の見直し」(42.9%)が多く挙がった。どの見直し理由についても、「生産コストの適正化」が筆頭となっており、「人件費の高騰や労働力不足と工場の生産能力不足」や「親会社の生産コストの適正化」を理由に生産地を移転するというコメントが聞かれた。

(滝本慎一郎)

(カナダ)

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