ラオス国会、中国ラオス鉄道の活用について協議

(ラオス)

ビエンチャン発

2021年11月11日

ラオスで11月1日、第9期第2回国民議会(国会)が26日までを会期として招集された。初日にソンサイ・シーパンドーン副首相兼計画投資相は、2021年のGDP成長率が当初計画の4%を下回り、3%となる見通しと説明した。セクター別では、建設(8.2%)、健康医療(6.5%)、情報通信(6.3%)、電気(4.5%)などが堅調の見込み。他方、新型コロナウイルス感染拡大の長期化が観光関連産業に影響を与え、ホテル・レストラン(マイナス28.6%)が大きく落ち込むと説明した(パテートラオ11月3日)。

新型コロナ禍の下、ラオスは全ての国際国境を閉鎖し、商品輸送以外の一般人や旅行者の出入りを原則禁止している。周辺国が旅行者の受け入れを開始する中、12月2日には中国ラオス鉄道が開通することから、パンカム首相は、ラオスでも感染対策の条件の整った地域から徐々に外国人旅行者の受け入れを進めていく方針を発表した(パテートラオ11月8日)。

この点、国会では、中国ラオス鉄道の開通に当たり、その経済効果を高める議論も行われた。例えば、ブンター・テープパボン議員は、中国鉄道の延線や駅周辺を各地域の持つ強みに応じた特色ある開発区に指定し、内外投資家を誘致する必要があると指摘、投資認可の迅速化などビジネス環境整備も急務と説明した(パサソン11月4日)。

ワリー・ベッサポン議員は、同鉄道開通は内外で注目され、ラオスは従来、内陸国として輸送コストが割高だったが、鉄道により改善すると指摘した。さらに、中国やベトナムなど周辺国の商品を運ぶ経由地としての役割も重要で、輸送や投資への法整備が必要と述べした(ビエンチャンマイ11月8日)。

ペット・ポムピパック農林相は、2022年に鉄道沿線で各地域に適した作物栽培や家畜飼育を推進して優遇を与え、内外投資を誘致する方針を説明した。関連して、ラオスと中国との間では現在、14品目の検疫交渉が妥結しているが、さらに20品目について交渉を進めていると説明、ラオス産農産物の中国向け輸出を促進すると強調した(パサソン11月5日)。

その他、ジェトロがラオス商工会議所のウデット・スワンナボン会頭に確認したところ、「商工会と商工省を中心に、鉄道路線の各都市に工業区を建設する計画を立てている。まずはタイやベトナムとの国道に連結する、ウドムサイ県サイ郡の開発可能性を調査する」とのことだった。

写真 中国ラオス鉄道が通過するビエンチャン駅の様子(ジェトロ撮影)

中国ラオス鉄道が通過するビエンチャン駅の様子(ジェトロ撮影)

(山田健一郎)

(ラオス)

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