外国投資家評議会、「投資環境白書2021」を発表

(セルビア)

ウィーン発

2021年11月22日

創設19年目となるセルビアの外国投資家評議会(FIC)は11月15日、政府に対して投資環境の改善を提言する「投資環境白書2021PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の報告会を開いた。FICはセルビア最大の経済団体で、在セルビアの外資系大手企業が加盟しており、会員数は23の事業分野で121社、会員企業による投資総額は360億ユーロ以上で、10万人以上が雇用されている。FICはセルビア政府やステークホルダーと緊密なパートナー関係を築いている。

前年の報告会(2020年11月26日記事参照)は、新型コロナウイルスの影響でパネリストのみの参加で、会員にはオンラインで配信した。今回は新型コロナウイルス感染第5波の真っただ中ではあったが、ワクチン接種が進んだこともあり、例年どおりのリアル参加型の報告会となった。

マイケル・ミッシェルFIC会長は冒頭のあいさつで、感染のパンデミックが2022年の進路を左右するだろうと述べるとともに、FICは、世界的に厳しい時代にビジネス環境を改善しようとするセルビア政府の決意を認めていると強調した。FICの投資環境白書はセルビアのビジネス環境を改善するための最も信頼のおけるガイドで、2021年の白書では約50社が54部門に対して346の勧告を行っていると述べた。また、FICはビジネス環境をさらに改善することが長期的に必要と考えており、FICがセルビア政府に期待する主なことは、EU加盟交渉の継続と加速させることだ。ビジネス規制全般とその実施の改善、持続可能な財政再建への取り組み(構造改革、特に国有企業の民営化と法人化)、課税分野の法律の施行(税務行政能力の強化)だとも述べた。

2020年白書の319の勧告のうち、2020年11月から2021年10月までに(デジタル化と電子商取引などについて)8%が「著しい進歩」、(違法取引防止などについて)2.5%が「一定の進歩」が見られたとの分析が2021年白書で行われている。(税金、労働規則などで)「進歩なし」は67%だった。

また、FICが2021年の白書で優先事項と見なしている分野は、(1)税金、(2)労働規則、(3)デジタル化と電子商取引、(4)不動産、(5)違法取引防止、(6)検査監督、(7)破産、(8)外国為替規制、(9)医薬品などとなっている。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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