統一地方選で政府支持派が引き続き多数占める

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2021年11月24日

ベネズエラの統一地方選挙が11月21日に投票され、政府支持派が引き続き多数を占める結果となった。開票率99.2%時点の選挙管理委員会(CNE)の発表によると、知事選については全23州中、ニコラス・マドゥーロ大統領を支持する政府派18州、反政府派4州が確定し、1州が未定となっている。未定のアプレ州が政府派となれば、双方の知事数は前回と同様となる。一方、市長選については全335市中、政府派が205市、反政府派が117市、未定が13市となった。州と同格とされるカラカス首都圏市長選では政府派が継続することとなった。州議会と市議会の議員選は、投票日から28日後までに全て確定する予定となっている。

当日は一部の投票所で開始・終了の遅延や、投票機のカウントエラーが報告されたほか、政府の発表によると、スリア州で投票所付近のトラブルから3人の死傷者があったとされるが、大きな抗議行動や妨害などは見られず、投票は平穏に実施された。これまで政府の強い影響下にあった選挙管理委員会(CNE)についても、5人の役員中2人が反政府側から指名されており、選挙監視を行ったEUのイサベル・サントス監視団長は23日、「選挙の運営は過去20年で最も公平だった」と発表している。

反政府派は、2018年の大統領選や2020年の国会議員選では投票ボイコットを行ってきたが、今回の地方選挙では、野党連合の有力者のエンリケ・カプリレス元ミランダ州知事の強い呼びかけから参加した。一方、リーダー役のフアン・グアイド元国会議長(暫定大統領)は参加・不参加いずれの呼びかけも行わなかった。

マドゥーロ政権に対する反政府派の不信感は相変わらず強いが、今回は双方のバランスを変化させるほどには至らなかった。反政府派は主要州・市で統一候補の擁立に失敗するなど、識者の中には反政府派の戦略不足を指摘する声もある。一方、政府側としては、選挙当局への影響力が低下したとしても、困窮した国民に各種補助金などメリットを提供することにより選挙で十分な支持を得られるという目算が当初からあったとみられ、あらためて体制の強固さを見せつける結果となった。

写真 反政府派による選挙キャンペーンの様子(カラカス市内アルタミラ広場、ジェトロ撮影)

反政府派による選挙キャンペーンの様子(カラカス市内アルタミラ広場、ジェトロ撮影)

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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