ASEANカナダFTAの交渉開始、タイの閣議が承認

(ASEAN、タイ、カナダ)

バンコク発

2021年11月17日

タイ政府は11月9日の閣議で、ASEANカナダ自由貿易協定(FTA)の交渉枠組みを承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同協定の交渉開始は、2021年のASEAN議長国ブルネイの経済分野の主要な成果の1つとなっている。

ASEAN事務局の貿易統計によると、2020年のASEANの対カナダ貿易総額は162億ドルだ。ASEANの対日貿易に比べて13分の1程度の規模だ。ASEANの対カナダ輸出は100億ドル、対カナダ輸入は62億ドル。また、タイの対カナダ貿易総額は23億ドルで、対日貿易の22分の1程度の規模だ。タイの対カナダ輸出が15億ドル、対カナダ輸入が8億ドルとなっている。

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は閣議決定に先立つ10月26日、協定に関する研究結果を内閣向けに提出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(DTN発表)。それによると、タイとカナダが全品目の輸入関税を50~100%削減した場合、タイの対カナダ輸出は約2億4,000万ドル~約5億1,000万ドル、対カナダ輸入は約2.3億3,000万ドル~約5億ドル増加することが期待できる。

タイからカナダへの有望輸出品目としては、野菜加工品や果物加工品、調味料、ゴム製品、電気製品、自動車・部品などがある。カナダからの有望輸入品目としては、動物性食品、穀物、加工木材、エンジンなどだ。

サービス貿易・投資の面では、タイ企業は観光やビジネス関連サービス、建設、金融、物流などの分野でカナダへ投資する機会が増える。一方、カナダ企業はビジネス関連サービスや観光、金融、電気通信、コンピュータ・情報関連サービスなどの分野でタイに投資する機会が増えるという。

なお、交渉の枠組みの範囲は、物品貿易、貿易救済措置、原産地規則、税関様式、貿易円滑化、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、投資、自然人の移動、知的財産、電子商取引、貿易競争、中小企業、技術・経済協力、零細・政府調達、グッドプラクティス、労働、環境、透明性、紛争解決、制度管理、国営企業など。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(ASEAN、タイ、カナダ)

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