オンタリオ州、自動車計画第2段階を発表
(カナダ)
トロント発
2021年11月25日
カナダ・オンタリオ州政府は11月17日、同州を北米の自動車開発・製造のイノベーションハブとして位置付けていくための自動車計画「ドライビング・プロスペリティー(繁栄の推進)」の第2段階を発表した。
同州はトヨタ、ホンダの日系ブランド2社と、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)、ステランティスの計5つの大手自動車メーカーとトラックメーカーの日野自動車が生産工場を構える世界でも珍しい自動車製造の集積地となっている。自動車産業の未来への取り組みとして、計画の第1段階を2019年に公開していた。
今回の発表では、電気自動車(EV)の世界的な需要に対応し、2030年までに少なくとも40万台のEVとハイブリッド車を製造するとし、自動車業界と提携して、以下の4つの目標を達成するというものだ。
- 未来の自動車に向けて車両と部品の生産を再配置し、自動車メーカーへのハイブリッド車とバッテリーEV生産の義務化を通じて、新しいバッテリー組み立て工場を誘致し、オンタリオ発の自動車部品とイノベーションの輸出を増やす。
- 州北部の鉱物資源と南部の製造力をつなぐバッテリーサプライチェーンのエコシステムを確立し、支援する。
- 新製品やサービスの創作から設計、採用に至るまで、開発のあらゆる段階でイノベーションを起こす。
- 自動車産業の労働者が自動車産業およびより広範なサプライチェーン全体でやりがいのある高給な職を確保するために必要なスキルを習得できるようにする。
自動車メーカー各社は既に、革新的なEV生産体制の構築に向けてオンタリオ州の組み立て工場へ約40億カナダ・ドル(約3,640億円、Cドル、1Cドル=約91円)を投じている。例えば、ステランティスはウィンザーの組み立て工場を刷新して新しい電動車両を製造するため、15億Cドルを投資しているほか、GMはインガーソールの工場に10億Cドルを投資して、カナダ国内の主要メーカーでは初の全てのEV生産となる小型商用配送バンの製造を実現しており、今後もEVと関連部品生産の加速による自動車産業の拡大が期待されている。
(江崎江里子)
(カナダ)
ビジネス短信 e52ab9a77444865f