バイデン米政権、COP26で中国との気候変動対策に関する共同宣言発表

(米国、中国)

ニューヨーク発

2021年11月15日

米国のジョン・ケリー気候変動担当大統領特使は11月10日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で中国との気候変動対策に関する共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ジョー・バイデン大統領は11月2日、COP26を欠席した習近平国家主席に対して「欠席は大きな間違いだ」「中国は(各国に対する)影響力を失った」と批判したため、協調が見られていた気候変動対策でも両国間の緊張が高まっていた。15日にオンラインでの開催が発表された米中首脳会談でも、気候変動対策は議題の1つになるとみられる。

共同宣言では、パリ協定に基づいて世界の平均気温上昇を産業革命前の1.5度以内に抑えるため両国が協調して対策を強化するとしている。具体的には、今後10年の気候変動対策を話し合う作業部会を設けるほか、中国が今後5年間で石炭消費量を段階的に削減することや、メタンガスの排出削減計画を策定することなどが柱となっている。しかし、石炭については具体的数値や年限目標に関する新たな言及はなく、メタンガスに関しても、米国と欧州が推進し、約100カ国が参加表明している、2030年までにメタンガスを2020年比で30%削減する取り組み(2021年9月21日記事11月4日記事参照)への参加の言及はなかった。今回の発表について、アントニオ・グテーレス国連事務総長は「気候危機には国際協力と連帯が不可欠であり、発表は正しい方向への重要な一歩だ」と歓迎した。一方で、米メディアのポリティコは専門家のコメントを引用して、「(1.5度の気温上昇に抑えるためには)今回の声明は十分でなく、両国の真価が問われるのは、グラスゴーで1.5度の目標に向けた取り引きをどれだけ強く求められるかだ」と言及するなど、一部で声明が不十分と指摘する声も見られる(ポリティコ11月10日)。

COP26には、バイデン大統領やケリー特使のほか、アントニー・ブリンケン国務長官やジェニファー・グランホルムエネルギー長官、マイケル・リーガン環境保護庁長官など多くの米国閣僚が出席し、米議会からも民主党のナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州)を団長とする議会代表団が派遣外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。特にペロシ下院議長は、バイデン政権が推進する超党派インフラ法案(2021年11月9日記事参照)やビルド・バック・ベター法案(2021年11月1日記事参照)などの気候変動対策をアピールし、「(議会でも)バイデン政権の目標である2030年までの温室効果ガス半減、2050年のカーボンネットゼロ達成を推し進める」と述べて、気候変動対策に積極的に取り組む姿勢を示した。

(宮野慶太)

(米国、中国)

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