対外経済安全保障戦略会議で尿素のサプライチェーン対応策をレビュー

(韓国)

ソウル発

2021年11月11日

韓国企画財政部は11月7日、ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官主宰による「対外経済安全保障戦略会議」を開催し、中国の輸出管理措置による尿素不足(2021年11月9日記事参照)に関し、各省の対応をレビューした。

短期的な対策として、当面の尿素不足に対応するため、以下の対策について確認した。

  1. 外交チャネルを総動員し、中国政府に対して引き続き迅速な輸出通関手続きを要請するとともに、年内に数千トンをオーストラリアやベトナムなどから調達できるよう関係国と協議する。
  2. 輸入先代替による超過費用の支援を行う。
  3. 輸入時の品質検査を3~5日〔注〕に短縮する。
  4. 産業用尿素水の車両用への用途転換の可否を11月中旬までに検討し、可能だと分かれば、速やかに用途転換する。
  5. 国内の尿素の在庫を把握し、買い占めや売り惜しみの防止、緊急需給措置などを通じた需給の安定化を図る。

中長期的な対策としては、主に以下の点について確認した。

  1. 国内の尿素生産設備の確保、調達庁による戦略的備蓄など長期的な需給安定化対策を整備する。
  2. 尿素水以外の窒素酸化物を分解する触媒の開発を促進する。
  3. 尿素のみならず、特定国への依存度が高い品目を調査・選定し、サプライチェーン上の問題が生じる可能性を定期的にレビューする体制を整備する。

また、同会議では、米国政府による半導体関連情報提供の要請に関連し、進捗の最終レビューを行った。同会議では、(1)韓国政府はこれまで米国政府に対して韓国の立場を伝達するなど、両国間で緊密な協議を進めるとともに、韓国企業との協議を重ね、企業支援に注力してきたこと、(2)韓国の半導体企業も米国政府に提出する情報の内容について米国側と調整を続けたことが報告された。こうした韓国政府と業界の協力により、自主的な情報提供に向けた準備が順調に進んでいることを確認した。

〔注〕通常、輸入時の品質検査に20日程度を要する。

(当間正明)

(韓国)

ビジネス短信 dde57af2587c4d0b