米消費者信用残高、9月は8.3%増の高い伸び、消費者マインド改善も供給逼迫懸念

(米国)

ニューヨーク発

2021年11月11日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は11月5日、9月の消費者信用残高が前月比で8.3%増加(季節調整値、年率換算)したことを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。6月に同10%増の伸びを記録したものの、7月、8月は新型コロナウイルスのデルタ型変異株の拡大などにより伸びが鈍化していたが、9月になり伸びが再び加速した。残高は4兆3,674億ドルとなり(添付資料図参照)、旺盛な消費マインドが戻ってきていることがうかがえる。

消費者信用残高は、クレジットカードなど個人向けの信用供与の残高を示すもので、消費動向とともに、消費者マインドを図る指標の1つとされる。同残高は、毎月あらかじめ決めた金額を支払うリボルビング払い残高と、自動車や教育ローンなどそれ以外の非リボルビング払い残高で構成されているが、前者は前月比11.8%増、後者は7.2%増と、どちらも高い伸びを示した。

今後の需要についても明るい先行きを見せ始めている。民間調査会社コンファレンスボードが10月26日に発表した消費者信頼感指数は113.8となり、3カ月ぶりに増加した。また、全米小売業協会(NRF)の発表によると、2021年末(11~12月)の小売売上高は過去最高を記録する見通しとなっている(2021年10月29日記事参照)。

一方、今後の懸念は上述したような旺盛な需要に供給が追いつけるかどうかだ。国際的な供給網の逼迫を踏まえ、バイデン政権はロサンゼルス港などの夜間運営といった対策を取っている(2021年10月14日記事参照)が、米国内でも貨物需要の増加に配送が追いついていない。全米トラック協会(ATA)は、ドライバーの高齢化や新型コロナウイルス感染拡大による教習所閉鎖などの要因により、2021年の配送ドライバーの不足数は8万人と、歴史的な高水準に達するとしている。また、航空各社も人材難に苦慮している。需要の増加にもかかわらず、人材不足と悪天候が重なったことにより、アメリカン航空は10月29日から月末にかけて1,500便以上をキャンセルしたという(CNN10月31日)。10月の雇用統計でも、労働参加率の回復の鈍さが確認される結果となっているが(2021年11月9日記事参照)、労働力が不足する中、増加する需要に各社が今後対応できるかが注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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