クライメットテック分野の日英企業連携促進に向けたオンラインイベント、ジェトロが共催

(英国)

ロンドン発

2021年11月11日

ジェトロは10月29日、セット・スクエアード・パートナーシップ(SETSquared Partnership外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注)と「クライメットテック(気候変動対策に資する技術)」と題したオンラインピッチイベントを共催した。気候変動対策のテクノロジー関連商品やサービスを開発・提供する英国スタートアップ6社が登壇し、脱炭素やサーキュラーエコノミーなどのクライメットテック分野で、日英企業連携の推進を目指したイベントとなった。

SETSquaredのサイモン・ボンド・イノベーションダイレクターが開催のあいさつをし、続いて、三菱ケミカルホールディングス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの浦木史子技術・事業開発部門ベンチャー室長が登壇。日本の2050年カーボンニュートラル(炭素中立)目標と並ぶ同社の2030年までの温室効果ガス(GHG)排出量29%削減(2019年度比)目標に基づいた取り組みを紹介し、クライメットテック部門のスタートアップとの協業に意欲を示した。

次に、化石燃料によるGHG排出量削減を目的に研究開発を進めるクライメットテック関連の英国発スタートアップ3社を紹介。再生可能なバイオマスの海藻を使用したバイオポリマーを開発し、持続可能なバイオプラスチックを提供する「ケルピー(Kelpi外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」や、建物内部の室温調整を可能にするための、透明から白色に変化する特殊技術によるガラスコーティング加工を行う「アルボターム(Albotherm外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」、ゼロエミッションのバッテリーと水素電池を用いることで海洋環境に優しい船舶エンジンの開発を行う「エコマー・プロパルジョン(Ecomar Propulsion外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が登壇した。

続いて、SETSquared、三菱ケミカルホールディングス、ゼロ・カーボン・キャピタル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの3社による、気候変動対策に向けての公共・民間投資や政府規制、クライメットテック分野スタートアップの雇用支援についてのパネルディスカッションが行われた。

スタートアップ紹介では、化石燃料を使ったプラスチックマイクロビーズの代替となる生分解性セルロース微粒子の研究開発を行う「ナチュア・ビーズ(Naturbeads外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」や、環境に配慮した潤滑油や化学製品を製造するために、生分解性・熱安定性のある基油の開発・製造を行う「ヌースペック・オイルズ(Nuspec Oils外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」、人工知能(AI)を使った制御システムの運用によりガス供給の効率化を可能にする「ユトノミー(Utonomy外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が登壇した。

後半のパネルディスカッションでは前半と同じ3社が登壇。クライメットテック分野の今後の課題が議論されるとともに、大学研究から生まれる商品・サービスの市場可能性の検討や資金調達支援を行う「ICUReプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の役割の重要性が強調された。最後に、ジェトロ・ロンドン事務所の崎重雅英次長が「J-Bridge」プログラムについて説明した。

(注)英国の有力6大学の技術移転やスピンアウト企業支援を行うインキュベーターネットワーク。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国)

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