第3四半期のGDP成長率、前年同期比3.51%。成長幅は鈍化も2期連続プラス

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年11月12日

インドネシア中央統計庁(BPS)は11日5日、2021年第3四半期(7~9月)のGDP成長率を前年同期比3.51%、前期比1.55%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料図参照)。第2四半期(4~6月)の前年同期比7.07%から2期連続のプラス成長だが、成長幅は鈍化した。マルゴ・ユヲノBPS長官によると、新型コロナウイルス感染拡大により、政府が社会制限を強化したことが成長率鈍化の主因とみられる。また、長官は、「新型コロナ禍」発生前の数年間の経済成長率が5%前後だったことを引き合いに、「2021年通年の成長率は5%に満たないだろう」と述べた(「コンパス」紙11月5日)。

支出面では、全ての項目でプラス成長となった。GDP全体の約53%を占める家計最終消費は1.03%の成長にとどまったものの、輸出入がそれぞれ29.16%と30.11%と成長した。

業種別では、17の主要セクターのうち6セクターが前年同期比でマイナス成長となった。特に、行政・防衛・社会保障(マイナス9.96%)と教育サービス(マイナス4.42%)の減少幅が大きかった。成長率が高かったセクターは、医療サービス・社会保障(14.06%)、鉱業・採掘(7.78%)、情報・通信(5.51%)、卸・小売り・二輪四輪修理(5.16%)、水道・ごみ・廃棄物・リサイクル(4.56%)だった。

地域別では、前年同期比でバリ・ヌサトゥンガラ島のみがマイナス成長(マイナス0.09%)だった。成長率が最も高かったのはマルク・パプア島の9.15%だった。GDPの約6割を占めるジャワ島の成長率は3.03%。ジャカルタ首都特別州での成長率は2.43%となり、成長率が大きく減速した。

財務省のフェブリオ・カカリブ財政政策庁長官氏は「経済状況は新型コロナウイルス対応の影響を大きく受ける」とした上で、成長率が鈍化したものの大幅に経済が回復した第2四半期との比較でも1.55%のプラス成長をしたことや、感染状況が改善して経済活動が再開されつつあることに、前向きな見方を示した(「リパブリカ」紙11月5日)。マンディリ銀行のエコノミストであるファイサル・ラフマン氏は、政府の規制によって国内の感染状況が改善したこと、周辺国の経済回復に伴う需要回復が期待されることを挙げ、2021年通年の経済成長率が3.69%になるとの見通しを示している(「コンタン」紙11月5日)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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