ベトナム首相が訪日、気候変動や新型コロナ対策で日本と連携強化

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2021年11月30日

ベトナムのファム・ミン・チン首相は11月22日から25日にかけて日本を公式訪問した。10月の岸田政権発足後に初めて訪日した外国首脳となった。両国は広範な戦略的パートナーシップを深化させ、新型コロナウイルス対策やポストコロナの経済再生、人材育成、気候変動対策など多方面で協力していくことを確認した。

ベトナム政府サイトによると、チン首相は訪日中、日本政府高官らとの面談や、栃木県への訪問、投資カンファレンス参加など50近くの行事に参加した。特に日本企業のトップらとの面談を多く設け、ベトナムへの投資などを促した。

24日には岸田文雄首相との首脳会談を実施し、共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。それによると、両首相はポストコロナの経済再生に向けたカギであるグローバルサプライチェーンの強靭(きょうじん)化に向け、デジタルトランスフォーメーション(DX)、生産拠点の多元化、裾野産業育成などでの協力を通じて、企業連携の促進や投資環境の改善に取り組むことで一致した。また、交通インフラ、気候変動対応インフラ、ヘルスケア、DXに焦点を置き、ODAを進めていくことを確認した。

人材育成では、ベトナム人技能実習生を取り巻く環境の改善に向けて、両国当局間の意思疎通を緊密化するとともに、技能実習制度の適正な運用に向けて協力を進めることで一致した。

気候変動対策では、日本はベトナムが2050年のカーボンニュートラル達成を掲げたことに敬意を表し、カーボンニュートラルに向けたエネルギートランジションを全面的に支援すると表明した。経済産業省はベトナム商工省と25日に共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出し、クリーンエネルギープロジェクトへの日本企業の投資促進、クリーン技術の導入、エネルギートランジションのロードマップ策定で協力していくことで合意した。

新型コロナウイルス対策では、日本政府はこれまでの約408万回分のワクチンに加えて新たに約154万回分を供与すると表明し、25日にハノイのノイバイ空港に届けた。また、塩野義製薬が開発中のワクチンと経口治療薬の臨床試験やワクチン製造技術の移管などについて、ベトナム保健省などと協議を進めることで合意した。

(庄浩充)

(ベトナム、日本)

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