欧州委、廃棄物輸送規則改正案を発表、域外輸送の規制強化と域内輸送の円滑化図る

(EU)

ブリュッセル発

2021年11月19日

欧州委員会は11月17日、欧州グリーン・ディールの一環として、汚染防止と循環型経済の促進に向けた廃棄物輸送規則の改正案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。2020年のEU域内から域外への廃棄物の輸出は約3,270万トン(130億ユーロ相当)と、2004年比で75%増加しており、EU域内の廃棄物の輸送も年間約6,700万トンに達している。輸送された廃棄物は、仕向け国で適切に管理されない場合、人体や環境に対する有害なリスクを生みかねない。そこで、EUは2006年に仕向け国での人体や環境に悪影響を与えないかたちの廃棄物管理の確保を目指し、EU域内あるいは域外への廃棄物の輸出入に関する管理メカニズムを規定した廃棄物輸送規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを制定した。しかし、現行規則では、EU域外の仕向け国の廃棄物の適切な管理を確保するための規制が十分でなく、さらに、循環型経済を推進するためにEU域内での廃棄物のリサイクルや二次資源としての利用をより円滑にする必要があることから、今回の改正案が提案された。

改正案の柱となるのが、廃棄物のEU域外輸出の規制強化、EU加盟国間輸送の円滑化、違法な輸送への対策だ。域外輸出については、仕向け国がOECD加盟国か非加盟国かで規制が異なる。OECD加盟国への輸出に関しては、廃棄物の輸出量が急増するなど仕向け国の環境、公衆衛生上のリスクが高まり、仕向け国での持続可能な廃棄物の取り扱いが保証されていないと欧州委が判断する場合には、輸出を一時停止することができるようになる。OECD非加盟国への輸出は、仕向け国から非有害廃棄物の輸出要請があり、仕向け国でリサイクル実施などの適切な取り扱いが証明された場合にのみ認められる。また、仕向け国がOECD加盟国であるか否かにかかわらず、EUの廃棄物輸出業者は、仕向け国の施設が廃棄物を環境に配慮して管理しているかについて独立した監査を実施する必要がある。

EU加盟国間の廃棄物輸送については、手続きのデジタル化、ファストトラック手続きの推進、EUレベルでの廃棄物の分類統一などにより円滑化を図るとともに、焼却処理や埋め立て処分される廃棄物の輸送に関する規制を厳格化する。違法な廃棄物輸送対策については、行政罰に関する規定を厳格化するとともに、各加盟国の検査当局関係者などからなるEU廃棄物輸送執行グループを設置し、加盟国間の協力を強化する。

同規則案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。

2050年までのEU全域の土壌健全化を目指す土壌戦略も発表

また、欧州委は同日、EU全域の土壌エコシステムの健全化を目指す土壌戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。食料生産、生物多様性、炭素貯蔵の観点から、土壌の健全化の重要性は高いものの、EU域内の土壌の7割は良好な状態にあるとはいえないと評価。そこで、同戦略では、土壌の保護、回復、持続可能な利用に関する具体的な措置の枠組みを規定し、努力規定だけでなく法的拘束力のある対策を提案している。

(吉沼啓介)

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