輸入原材料価格の高騰が韓国企業の収益圧迫
(韓国)
ソウル発
2021年11月08日
韓国の全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に相当)は11月1日、原材料の輸入価格の高騰(注1)が企業の収益性に与える影響などの分析結果を公表した。
過去の経済危機〔アジア通貨危機(2000年1~3月)、リーマン・ショック時(2010年1~3月)〕と比較しても、最近の原材料輸入価格の上昇率は高い水準にある。ドルベースの輸入物価指数を基に、新型コロナウイルス禍での原材料価格の推移を比較したところ、2021年7~9月の原材料価格上昇率は前年同期比60.8%と、アジア通貨危機時の57.8%やリーマン・ショック時の39.8%よりも高かった。
全経連では、韓国企業に及ぼす影響について、原材料輸入物価上昇分の半分を製品価格に転嫁し、残りの半分を企業が吸収すると仮定し、企業の収益性などへの影響を分析した(注2)。この結果、新型コロナ禍以前の5年間(2015~2019年)平均で5.2%だった韓国企業の売上高営業利益率は、原材料価格上昇の影響で1.8ポイント押し下げられ、3.4%になった。また、製品価格への転嫁により消費者物価は1.6ポイント(大企業分が1.0ポイント、中小企業分が0.6ポイント)上昇する結果となった。
(注1)国際原油価格の場合、2021年9月までに米国原油価格指標(WTI、現物)が1バレル75.03ドル(2020年4月は同15.06ドル)、ドバイ原油(現物)が75.90ドル(同20.83ドル)、ブレンド原油(現物)が78.77ドル(同20.66ドル)に上昇。
(注2)2021年1~9月の原材料輸入物価上昇率は前年同期比32.3%(韓国通貨ウォンベース)。
(当間正明)
(韓国)
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