南西・中央アジアの農業高度化に期待、ジェトロがウェビナー開催

(インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ウズベキスタン)

新興国ビジネス開発課

2021年11月18日

南西・中央アジア地域が、農業資機材市場としての魅力を増している。ジェトロは、インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ウズベキスタンの駐在員が現地の市場概況や農業事情、日本企業参入における課題や可能性について解説するウェブセミナーを11月9日に開催した。

ジェトロ・チェンナイ事務所の中山幸英所長は、今月発表した「インド農業資機材市場調査」の内容も踏まえながら、インドの農業の特徴として、零細農家の多さ、仲介業者のマージンの高さ、農業機械導入におけるトラクター偏重の傾向などを指摘した。また、今後のニーズとして、零細農家でも購入できる資機材、農家側で農作物の評価を行える機器などを挙げた。

ジェトロ・ダッカ事務所の安藤裕二所長は、バングラデシュ農家の日本製品への理解の低さや購買力不足といった課題を指摘しつつ、機械化の余地が大きい伝統手法に頼った農地の存在や、政府による農業機械普及に向けた政策(低関税や補助金など)を挙げ、農業資機材への関心が高まっていると説明した。

ジェトロ・カラチ事務所の山口和紀所長は、主要産業の1つである農業の機械化の遅れを指摘しつつ、農業生産性向上に向けた政策の一環として、綿やオリーブを中心に機械化に向けた施策が講じられていると紹介した。

ジェトロ・コロンボ事務所の糸長真知所長は、付加価値の高い農作物の栽培・輸出の促進を目指すスリランカ政府の意向に基づき、機械化や有機化に向けた取り組みが今後さらに加速していく可能性を示唆した。

ジェトロ・タシケント事務所の高橋淳所長は、経済活動自由化後のウズベキスタン経済の勢いを背景に、主要産業である農業分野で外国市場に対応できる栽培・生産・品質管理・輸送の高度化へのニーズが高まっていると述べた。

南西・中央アジア地域での農業分野のビジネスチャンス拡大に伴い、ジェトロでは2022年1月に「南西・中央アジア農業資機材オンライン商談会」を実施する。本商談会には、インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ウズベキスタンから14のバイヤーが参加予定。主な関心商材は、日本の農業機械や種苗関連製品、肥料やアグリテックなどだ。自国農業の課題解決や効率化に向けた、日本製品や先端技術への期待がうかがえる。

(金子優)

(インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、ウズベキスタン)

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