10月の乗用車販売、祝祭期としては振るわず前年同月比3割減

(インド)

ベンガルール発

2021年11月19日

インド自動車工業会(SIAM)は11月12日、2021年10月の自動車統計(出荷ベース)を発表した。2021年10月の国内販売台数は、乗用車販売〔多目的車(UV)とバンを含む〕が前年同月比27.1%減の22万6,353台となった(添付資料表1参照)。インドは11月上旬にヒンドゥー教の新年を祝う「ディワリ(灯明祭)」を迎え、例年であれば販売を伸ばす時期にもかかわらず、半導体不足などが要因となり、2カ月連続で前年実績を下回った。一方、2021年4~10月の販売台数は、前年同期比35.6%増の161万4,067台と増加した。

SIAMのラジェシュ・メノン事務局長はプレスリリースにおいて、「2021年度前半に深刻な販売数減少を経験し、この祝祭シーズンでの巻き返しを期待していたものの、半導体不足と原材料価格高騰が産業の大きな障害になっている」と指摘した。

2021年10月単月では、乗用車のうち、一般乗用車は前年同月比43.2%減と落ち込みが大きい。2021年10月単月のメーカー別販売をみると(添付資料表2参照)、主要メーカー12社のうち6社が前年同月比で2桁減となった。首位のマルチ・スズキは33.4%減の10万8,991台で、シェアは48.1%となった。韓国の現代は34.6%減の3万7,021台、地場のマヒンドラ&マヒンドラは8.1%増の2万130台を販売した。このほか、日系メーカーでは、トヨタ・キルロスカが0.5%増の1万2,440台と前年同月比同水準での国内販売数を確保し、日産が3.5倍の3,913台と前年同月比で大きく販売台数を伸ばしたが、ホンダは主要各社と同じく販売が減速し、25.2%減の8,108台となった。

車種別の販売台数上位は、スズキの「スウィフト」「ワゴンR」「セレリオ」などコンパクトモデル(計4万8,690台)、同ミニモデルの「アルト」「エスプレッソ」(計2万1,831台)、現代の「オーラ」「i20」「i10」などのコンパクトモデル(計1万6,034台)だった。多目的車(UV)では、スズキの「エルティガ」「S-Cross」(計1万4,447台)、マヒンドラ&マヒンドラの「ボレロ」など(計1万3,271台)が売れ筋となった。

2021年10月単月の二輪車販売は154万1,621台で、前年同月比24.9%の減少となり、乗用車と同じく前年実績を下回った(添付資料表1、添付資料表3参照)。主要部門のオートバイは26.4%減の101万7,874台、スクーターは20.9%減の46万7,161台だった。他方、電動二輪車は2021年4~10月の販売が前年同期比6.9倍と、シェアは小さいものの販売台数を大幅に伸ばした。インド南部に位置するタミル・ナドゥ州では電動スクーター工場の集積が進んでおり、今後も電動二輪車の業界動向に注目が集まっている(2021年10月7日地域・分析レポート参照)。

乗用車、二輪車、三輪車合計の10月単月における販売総数は、前年同月比24.7%減の179万9,750台だった。また、4~10月の販売総数は前年同期比5.2%増の980万507台となった。

(倉谷咲輝)

(インド)

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