国鉄がレッドライン事業のサウンディング型市場調査セミナーを初開催

(タイ)

バンコク発

2021年11月02日

タイ国有鉄道(SRT)は10月26日、首都圏鉄道「レッドライン」(通勤電車システム)事業の第1回サウンディング型市場調査ウェビナーを開催した。主にレッドライン事業にかかる背景や目的、事業調査の範囲、投資コストを含む事業の概要、民間投資の可能性に関する説明と関係者へのヒアリングなどを目的としており、政府機関や民間企業などから関係者約200人が参加した。SRTのジャレイ・ローンタニー副総裁(インフラ担当)は「このウェビナーを通じて関係者の意見を聴取し、質問に回答し、官民連携の機会を探ることが重要だ」と述べた。

レッドライン事業では、タイ運輸省の監督の下、SRTがコンサルタントを雇用し、官民連携(PPP:Public-Private Partnership)事業実施に向けた事業可能性調査(FS)、評価・分析を実施している。9月30日には、同事業のオリエンテーションセミナーが実施された(2021年10月7日記事参照)。

ウェビナー第1部では事業情報、技術情報、リスク分散、財務分析、投資モデル、政府準備状況などが説明され、第2部では調達手順にかかる情報が提供された。第1部での説明によると、レッドラインのサービスは、2027年もしくは2028年に完全に整備した状態で開通するという。また、2077年までの乗客需要予測と事業のシステム運用計画についても紹介があった。リスク分散については、(1)建設期間・事業開発段階、(2)運営・維持管理期間(事業運営段階)、(3)自然災害、新型コロナウイルス感染症流行、政府の金融政策と金利変動、為替レート、インフレーションなどの外的要因などに分けられ、官民それぞれ、または両方における責任範囲などの解説が行われた。

さらに、財務分析と投資モデルについては、PPPスキームの純費用、総費用などが示された。政府の環境影響評価(EIA)レポートの状況については、レッドライン事業の6路線のうち5路線が承認されたという。残るランシット駅~タマサート大学ランシットキャンパス駅の区間(添付資料図参照)が天然資源環境省天然資源環境政策計画局(ONEP)によって検討されていると伝えられた。

第2部では、調達手続きに関して説明され、大きく3段階に分けて、約14カ月を要するとの説明があった。

次回のサウンディング型市場調査セミナーは2022年4月中旬ごろまでに開催が予定されている。

このウェビナー関連資料は、レッドライン事業ウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から確認することが可能。

(宮口莉央、デゥアンパニッチ・チュティマ)

(タイ)

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