インド発ユニコーンが相次ぎ国内上場

(インド)

ニューデリー発

2021年11月01日

インドの美容・健康分野のスタートアップ企業FSN・Eコマース・ベンチャーズは10月28日、ボンベイ証券取引所(BSE)とナショナル証券取引所(NSE)で新規株式公開(IPO)を実施した。また、金融サービス分野のスタートアップ企業PBフィンテックも11月1日に同じくIPOに踏み切った。いずれもインド発ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)が国内で上場する代表的な事例となった。

FSN・Eコマース・ベンチャーズは2012年に美容・健康関連商品のECサイト「ナイカ(Nykaa)」を立ち上げたムンバイ発のスタートアップだ。主に女性消費者をターゲットとしたマーケティング戦略が功を奏し、スマートフォンアプリの累計ダウンロード件数は4,370万件(2021年3月末時点)に上る。2020年度(2020年4月~2021年3月)の売上高は前年度比38.1%増の244億896万ルピー(約366億1,344万円、1ルピー=約1.5円)を記録し、新型コロナウイルス禍でも黒字を達成していた。

PBフィンテックは2008年にデリー近郊のグルガオンで創業したスタートアップで、保険商品などの比較サイトとして誕生したデジタルプラットフォーム「ポリシーバザール(PolicyBazaar)」を運営する。このプラットフォームの利用者数は4,800万人以上(2021年3月末時点)で、同社が取り扱った保険料は総額470億ルピーに上る。保険商品のオンライン市場における売上シェアは65.3%(2020年度)だ。

インドでは、新型コロナウイルスの影響を事業拡大のチャンスに生かすなど、地場のスタートアップが急速に成長する事例が目立つ(2021年10月21日付地域・分析レポート参照)。インド発ユニコーンによる大型IPOとしては、7月の料理宅配サービスを展開するゾマトの上場が注目を集めていた。アーンスト・アンド・ヤング(EY)の報告書によると、2021年1~9月のインド国内のIPO案件数は72件と前年同期(24件)の3倍に達した。2021年にインドで誕生したユニコーン企業は前年比で既に2倍以上に増えている(2021年10月13日記事参照)。

(広木拓)

(インド)

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