第3四半期のGDP成長率は前年同期比マイナス4.5%

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年11月19日

マレーシア中央銀行と統計局は11月12日、2021年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を前年同期比マイナス4.5%と発表した。「新型コロナ禍」での長期にわたる経済活動制限が響き、前期の2桁増から再びマイナス成長に転じた。

需要項目別にみると、とりわけ民間投資と公共投資の落ち込みが内需を押し下げた。GDPの61.0%を占める個人消費は、国家回復計画による新たな移動制限で、家計支出の減少や雇用状況の不安定化が響き、前年同期比4.2%減と前期の11.7%増から落ち込んだ(添付資料表1、図参照)。一方、政府消費は、ワクチンの購入など新型コロナ対策の支出増で8.1%増だった。民間投資、公共投資は、それぞれ4.8%減、28.9%減と振るわなかった。純輸出は、輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったため、37.5%減に縮小した。

産業別では、特に建設業の落ち込みが際立った(添付資料表2参照)。操業人数制限により前期の40.3%増から20.6%減へと大幅に落ち込んだ。全体の56.7%を占めるサービス業は、特に7月中の移動制限で消費活動が抑制され、前期の13.4%増から4.9%減に転じた。製造業も、前期の26.6%増から0.8%減となった。中央銀行によると、7月には全国における操業規制の厳格化が下押し圧力となったが、8月後半以降の規制緩和に伴い、緩やかな回復基調がみられたという。鉱業・採石は、原油および天然ガスの生産施設メンテナンスによる一時閉鎖が影響し、3.6%減となった。農業も、長期にわたる労働力不足を背景にパーム油減産が続き、1.9%減と振るわなかった。

2021年通年の成長率見通しを据え置き

2021年通年の成長率見通しについて、ノル・シャムシアー中央銀行総裁は、前回下方修正された3.0~4.0%に据え置いた。背景には、操業制限の緩和による経済活動の再開および政府による持続的な政策支援がある。また、格付け会社のムーディーズ・アナリティクスは、堅調な輸出実績、国境を越えた移動の再開に伴う個人消費の持ち直し、そして過去最高額の歳出を計上した2022年予算案(2021年11月5日記事参照)に鑑みて、マレーシアの第4四半期GDP成長率は回復傾向を示すと予測している(「国営ベルナマ通信」11月15日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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