大統領選挙の決選投票へ向け、左右両候補がトーンダウン

(チリ)

サンティアゴ発

2021年11月26日

11月22日のチリ大統領選挙の結果、右派連合(Frente Social Cristiano)のホセ・アントニオ・カスト氏と、左派連合(Apruebo Dignidad)のガブリエル・ボリッチ氏が12月19日に行われる決選投票へ駒を進めた。ここ16年間政権を担ってきた中道勢力との対比から、それぞれ極右、極左とも称される両陣営だが、ここ数日は決選投票へ向けて「トーンダウン」する様子が見られた。

トップ通過を果たしたカスト氏は、自らの経済政策をより具体的に検討すべく、新たに8人の専門家を自陣営へと迎え入れた。その中には、先の選挙でカスト氏に敗北した中道右派のセバスティアン・シチェル氏のコンサルタントを務めた、パトリシオ・ロハス氏も含まれる。カスト氏は「小さな政府」を主張し、法人税や消費税の減税を公約に掲げている。それらの主張に変わりがない点は強調しつつも、国内の景気動向も注視しながら、慎重に検討を進めると語気をやわらげた。

対するボリッチ氏は、協力関係にある共産党との関係性に頭を悩ませる。11月7日に実施され、ダニエル・オルテガ氏の4期連続当選となったニカラグアの大統領選について、欧米諸国やチリ政府はその合法性を認めず、糾弾している。しかし、共産党はオルテガ氏を支持する声明を発表し、ボリッチ氏は同党を厳しく非難した(注)。

また、共に左派の予備選挙を戦った共産党のダニエル・ハドゥエ氏の去就をめぐる発言も注目を集めた。ボリッチ氏はハドゥエ氏を、自らが組織する中央政府に適した人材ではなく、あくまでも現職のレコレタ区長としての立場から尽力いただく、と評し、共産党からの批判を受けた。今後も決選投票へ向けて、ハドゥエ氏および共産党との距離感は、ボリッチ氏のアキレス腱となるだろう。

パリシ氏への支持票はどこへ

決選投票へ向けてもう1点忘れてはならないのは、右派人民党(PDG)のフランコ・パリシ氏の存在だ。米国在住の同氏はSNSを活用し、チリにおけるフィジカルな選挙活動を一切行わないままに3位を獲得し、本選挙の最大のサプライズとなった。パリシ氏は現在まで、カスト氏、ボリッチ氏のいずれへの支持も表明しておらず、同氏の支持層が抱える浮動票の着地点が、決選投票の結果を左右する重要なファクターになる。

(注)本件をめぐっては、党の声明文を批判し、ボリッチ氏を支持する共産党員も存在する。

(佐藤竣平)

(チリ)

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