RCEP協定の発効見据え、ベトナム商工会議所などがセミナー開催

(ベトナム)

ハノイ発

2021年11月12日

ベトナム商工会議所(VCCI)は11月5日、中央経済研究所(CIEM)との共催で、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に関するセミナーをハノイ市内でオンラインを併用して開催した。RCEP協定は、ASEAN加盟国のうちシンガポール、ブルネイ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの6カ国と、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国が批准書を寄託(2021年11月4日記事参照)して発効要件が充足され、2022年1月1日に発効の見通しとなったことを受け、ベトナム企業にRCEP協定の活用を促した。

VCCIのホアン・クアン・フォン副会頭は、RCEP協定にはASEAN10カ国と日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国が含まれ、世界の人口とGDPの約3割を占めることに言及し、「RCEP協定は世界最大規模で新世代の自由貿易協定(FTA)だ」と強調した。また、RCEP協定にはベトナムにとって貿易面や投資面で重要な国が集まっていると指摘。2020年のベトナムとRCEP加盟国間の貿易額はベトナム全体の55%を占め、加盟国からベトナムへの直接投資(FDI)の金額は2021年10月時点の累計で全体の62%を占める。

商工省多国間貿易政策局のグエン・ティ・クイン・ガー副局長は、RCEP交渉担当部署の代表として、ベトナムのRCEPの狙いや交渉・締結のプロセスなどを紹介した。ガー副局長は「ASEANは個々に中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドとのFTAを有するが、関税優遇などの規則はそれぞれ締結した国のみに限定される。一方、RCEP協定は15カ国の加盟国間で貿易や投資を活性化し、ベトナムは安定した輸出、グローバルサプライチェーン形成の機会を拡大することができる」と訴えた。

CIEMのチャン・ティ・ホン・ミン所長は「RCEP協定を活用するためには、まず企業が協定の基本的な内容を理解する必要があり、それに基づいて独自の機会と課題解決を図ることが重要だ」と指摘した。

VCCI傘下のWTOセンターのグエン・ティ・トゥ・チャン所長は、税関や電子商取引など企業への影響を与えるRCEP協定のコミットメントや原産地規則、原産地証明手続きなどを解説した。2020年にVCCIが実施した調査によると、FTAを十分に理解している国内企業は23%のみだった。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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